サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト

2009年度「超伝導で実感する電磁場」に引き続き、2010年度も、サイエンス・パートナーシップ・プロジェクトの一つとして、物理系の「磁力線を体感して学ぶ電磁気」が採択されました。中学校・高等学校にて、超伝導を初めとする電磁気実験の講座を行いました。

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本プランの趣旨と展開状況

 琉球大学理学部物理系では、県内の児童・生徒に科学の楽しさを知り、理科に親しみを持ってもらいたいという願いのもと、昨年度より県内の小中高校に積極的に出前授業を行ってきました。

 2009年度のSPPに採択された講座「超伝導で実感する電磁場」においては超伝導状態という現象を利用して電磁誘導などの物理を実感し理解してもらうことを目標にしました。超伝導状態は液体窒素を使った低温が必要であり、また超伝導状態になる物質は一般には多く出まわってはおらず、中学高校の正規の授業で利用されることは稀です。単に珍しいだけではなく、超伝導状態になっている物質に磁場をトラップさせる(ピン止め現象)ことにより、磁力線の存在を手で感じ取ることができるという大きな利点があります。通常の中高の授業ではなかなか供給できないこの体験を中高校生に与えたいと考えています。

 理科そして物理は本来、さまざまな現象を不思議だと思い、「なぜ?」とその背後にある法則に思いを馳せるところから始まります。この講座では超伝導をはじめとする不思議(に思える現象)を見せます。不思議だという気持ちを持つことがまず大事ですが、単に不思議だと思うだけではなく、各々の現象の背後には観察と実験から導かれる物理法則がちゃんとあることを、生徒自身が気づいていけるような講座としたいと考えています。

講座の狙い:(科学技術振興機構に提出したものより抜粋)

 電場や磁場、あるいはこれを表現する電気力線・磁力線などは電磁気学の学習の中で会得せねばならない重要な概念ですが、目で見ることはできません。本講座型学習プランでは、琉球大学理学部物理系の所持する実験材料や実験装置を使って、磁力線の出す力を実際に自分の手で感じてもらい、高校での物理学習において「物理現象を実感して理解する」ことができるようにサポートすることを目指します。

 この目標のため、強力な磁石であるネオジム磁石を使った実験、超伝導体を使った磁気浮上の実験などを実際に生徒に行ってもらいます。また、実験だけではなく、琉球大学で授業に利用しているコンピュータシミュレーションなどを使ってグラフィカルに磁力線などの物理現象を理解できるように努めます。

 超伝導現象は高校生ではなかなか見ることのできないものですが、磁気浮上している超伝導体は、見た目が魔法のように不思議で目を惹くだけでなく、磁力線の存在を自分の目と手で実感することができる現象です。このような現象を見ることで、自然現象の不思議さに素直な感動を覚え、さらにその理由を解明していく物理学の姿を伝えて、今後の勉学に対する刺激とすることも目標の一つとします。

 もう一つの目標として、離島の高等学校等への出張講座を行うことがあります。沖縄県の理系の大学は琉球大学のみで、県内高校生が大学での物理・科学研究に触れる機会がそもそも少ないのですが、石垣島・宮古島など県内の離島はさらにその傾向が強いので、離島の児童・生徒に最新科学の成果に触れる機会を作りたいと考えています。

実際に見せて考えてもらう超伝導現象の動画ファイルがあります。

SPP(2009年度・2010年度)の活動記録

2009.10.5〜7 宮古島の宮古高等学校、佐良浜中学校、久松中学校、狩俣中学校にて、講座を行いました。宮古高校での様子はSPP2009宮古高校にまとめています。

2009.10.20 与論島の与論高等学校にて講座を行いました。

2010.10.4〜5 久米島の仲里中学校、久米島中学校、久米島西中学校、久米島高校にて、サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト「磁力線を体感して学ぶ電磁気」の講座として、液体窒素および超伝導をはじめとする磁石・電磁誘導など磁気現象の実験を行いました。

2010.10.27〜28 石垣島の八重山高校および八重山商工高校にて、サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト「磁力線を体感して学ぶ電磁気」の講座として、液体窒素および超伝導をはじめとする磁石・電磁誘導など磁気現象の実験を行いました。


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Last-modified: 2015-09-16 (水) 14:54:23 (3144d)