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★2014年4月25日(金) 16:20より

場 所: 理学部313教室

講演者: 坂井 典佑 先生 (東京工業大学名誉教授)

講演題名:「ヒッグス相のソリトン 〜素粒子の余剰次元模型とソリトン〜」

講演概要:

 ソリトンは場の方程式の解として得られ,時空が4次元以上の高次元であるとする余剰次元模型を構築する上で,重要な役割を果たす.超伝導現象のようにゲージ対称性が破れる場合をヒッグス相と呼ぶ.この場合に生じるドメーンウォールやボーテックスなどのソリトンの研究の現状と最近の発展を述べる.

★2014年5月29日(木) 16:20より

場 所: 理学部313教室

講演者: Derwyn Rowlands 博士(同済大学理工学部(中国 上海))

講演題名:「Disappearance of the Dirac cone in silicene: "alloy-analogy" revisited」

講演概要:

 Silicene is a silicon-based material which has only been recently experimentally-realized. Like carbon-based graphene, it has a 2D structure which gives rise to its unusual and potentially important properties. In order to design new electronic devices using silicene, it is essential to know how its electronic properties are affected by its interaction with the substrate on which it is grown. In particular, recent experimental investigations have given conflicting results as to whether the 2D graphene-like Dirac fermion properties are preserved. In order to investigate this important issue, we study the role played by an electric field which could be induced perpendicular to the Si plane when silicene is grown on a substrate such as Ag (111) as suggested by line-profile STM measurements. By describing the effect of the field using the 2D ionic Hubbard model on the honeycomb lattice, we make an "alloy analogy" and apply the coherent potential approximation (CPA) to the system. The calculations reveal symmetry-breaking by a charge density wave induced by the electric field which causes the silicene structure to lose its Dirac fermion characteristics, thus providing a simple mechanism for the disappearance of the Dirac cone.

★2014年6月26日(木) 16:20より

場 所: 理学部313教室

講演題目: ホイスラー型Fe-V-Al系の近接する二つの量子臨界点と不均一相

講演者: 名嘉 節(なか たかし)

独立行政法人物質・材料研究機構 

先端材料プロセスユニット 微粒子工学グループ主席研究員

講演概要:

 ホイスラー型のFe2VAlは、重い電子系である可能性が1997年に指摘されていた非磁性で半金属的な物質である。伝導電子数が〜0.01個/Feと少ないにもかかわらず、比較的大きな電子比熱係数 (γ~10 mJ/K2mol) が西野らにより初めて観測された。それ以来、わずかな化学量論的なずれや格子欠陥により、比熱ばかりではなく、熱電能や磁気抵抗なども顕著な増大を示すことが明らかとなってきた。置換系Fe2+xV1-xAl やFe2VAl1-δは、x~0+やδ~0+で常磁性-強磁性転移を示し、Fe2VAlは磁気的な量子臨界点の近傍に位置する。また、金属-絶縁体転移もx~0で起きていると考えられてる。そのため、電子比熱係数の増大は、磁気的な揺らぎあるいは励起子(電子-正孔対)相関が起因するという2つのモデルが提唱されている。本講演では、NIMS、琉球大学、アムステルダム大学と共同で行ってきた置換系Fe2+xV1-xAlの極低温、高磁場、高圧条件下での研究を紹介する。これまで複雑なために曖昧なままであった元素置換量と磁性・伝導・熱物性値などの相関を明らかにするため、広い置換量範囲0.1 ≤x ≤0.2で測定した結果を過去のデータとともに検討する。そして、隣接する二つの量子相転移やその近傍に見出される不均一相と物性異常の興味深い関連性を示したい。また、比熱増大のメカニズムを議論した2つの理論モデルを再検討する。

★2014年11月17日(月) 16:20より

場 所: 理学部313教室

講演題目: 空間的異方性の強い反強磁性体における相転移とユニバーサリティー

講演者: 藤堂 眞治 先生 (東京大学大学院 理学系研究科 物理学専攻)

講演概要:

相互作用の空間的な異方性が強く、擬二次元あるいは擬一次元とみなせる系は多い。このような系においては、特徴的な長さのスケールが複数存在する。さらに、量子臨界点においては、逆温度(虚時間)の長さのスケールも加わるため、モンテカルロ法などのシミュレーションによる相転移の解析は困難をともなう。本講演では、空間的に非等方的な系に対する新しい有限サイズスケーリング 手法を提案する。この方法では、系が実質的に等方的となるよう、系のアスペクト比が動的に調整される。最適なアスペクト比を用いてシミュレーションを行うことにより、非等方性からくる有限サイズ補正を小さく抑え、大きな系を最も効率よくシミュレーションすることが可能となる。さらに、等方的な系では臨界指数だけでなく臨界振幅もユニバーサルとなるため、より精密なユニバーサリティ クラスの検証が可能となる。アスペクト比のサイズ依存性が本質的に重要な役割を果たす例として、二次元ハイゼンベルグ反強磁性体(Staggered Dimer模型)の量子相転移の問題、非自明な動的臨界指数をもつ量子臨界現象をとり上げ、シミュレーションの結果について議論する。

★2015年2月3日(火) 16:20より

場 所: 理学部313教室

講演題目: 空間的異方性の強い反強磁性体における相転移とユニバーサリティー

講演者: 小林 理気 先生 (琉球大学理学部物質地球科学科物理系)

講演概要:

 電荷0、スピン1/2、単体での平均寿命約900秒の中性子は、我々の体や目の前の机、毎日飲む水など、電子や陽子と同様にあらゆるものに含まれているありふれた粒子ですが、中性子散乱実験と呼ばれる物性研究における極めて有力な研究手段の1つに用いることができます。特に中性子の持つ電荷0という性質は、試料への透過力を高め、また軽元素の散乱強度や高角度の散乱強度が強いといったX線回折実験に無いアドバンテージを生み出しています。加えてスピン1/2という性質は、磁性原子の持つ磁気モーメントと相互作用することを可能にし、中性子散乱実験は試料の 磁気構造も決定することができます。

 本講演ではまず初めにこの中性子散乱実験の手法について簡単に説明し、この手 最新の研究成果について紹介します。そして最後に今後阿曽先生との協力の下進めていきたいと考えている、「圧力誘起超伝導体CeRhIn5」という試料について、その魅力をお伝えしたいと思います。


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Last-modified: 2015-06-30 (火) 08:49:59 (3217d)