談話会

★平成31年1月25日(金) 3時30分〜

場 所: 理学部A105教室←教室変更

講演者: 二間瀬敏史(京都産業大学 理学部 宇宙物理・気象学科)

講演題名: タイプIa型超新星のm-z関係におけるレンズ効果を用いたニュートリノ質量と暗黒エネルギーへの制限

講演概要:

宇宙の大規模構造はそれによる弱い重力レンズ効果によってあらゆる宇宙論的観測に影響を与え雑音となる。しかしこの雑音には宇宙論的な情報が含まれており、それを引き出すことによって重要な情報が得られる。このことをタイプIa型超新星の見かけの明るさと赤方偏移関係におけるレンズ効果を例にとって考察する。近い将来行われる近赤外サーベイWRIRSTやLSST(Large Synoptic Survey Telescope)で期待される超新星のデータを用いることで、ニュートリノ質量に対して0.4eV程度や暗黒エネルギーに対する現状よりもより厳しい制限が求められることを示す。また将来的にニュートリノ質量に関しては0.1eV程度、暗黒エネルギーのパラメータについては1%の精度で決定できる観測可能性についての展望を述べる。

★平成30年11月30日(金)16:20〜 '場 所:'' A313 室

講演題目:Generalized Heisenberg-Euler Formula and its Application to Vacuum Magnetic Birefringence Experiment

講演者: 菅本 晶夫(お茶の水女子大学)

講演概要:

量子電磁気学(QED)において、電磁場の非線形効果を取り入れた作用を1936年にハイゼンベルグとオイラーが書き下したが、これにはパリティーを破る効果は入っていなかった。講演者は数名の共同研究者と共に、ハイゼンベルグ=オイラーの公式にパリティーを破る効果を取り入れた。ハイゼンベルグ=オイラーの公式は、磁場を印可したレーザー光を用いる複屈折実験において、QED補正を受けた「真空」を探るための基本公式である。この公式にパリティーを破る効果を取り入れることによって、暗黒物質 (ダークマター) の探索が可能となる。この場合、通常用いられるファブリ=ペロー型レーザー干渉計ではなく、リング状の干渉計を用いてかつ従来と異なる観測量を測定するならば、QEDの影響を受けることなくパリティーの破れ効果を観測できることを示した。例としてニュートリノが暗黒物質である場合を検討した。

★平成30年11月22日(木)16:20〜

場 所: 理学部本館 A313教室

講演者: 三宅 和正(大阪大学 先端強磁場科学研究センター)

講演題名:重い電子化合物で現れる価数変化にともなう異常物性:Ce系物質を中心に

講演概要:

Ce を含む重い電子系物質の圧力効果を理解する基本的な概念として「Doniach描像」にもとづく議論がしばしば成されてきた.それはCeの価数が基本的に3+(4f^1状態)であることを暗黙の了解としている.この講演では,この描像では理解できない,加圧によって価数が連続かつ急激に変化することによって様々な異常物性が現れることを議論したい.

★平成30年11月22日(木) 14:40 ~

場 所: 理学部本館A313教室

講演者:福元 好志(東京理科大学理工学部物理学科)

講演題名:量子多体電子系の特異な基底状態の探索

講演概要:

3つの話題,(i) スピン1/2ハイゼンベルグ反強磁性体での量子ダイマー模型の実現,(ii) スピン1/2 球体カゴメ系{W72V20}, {Mo72V30}とresonating valence bond (RVB)状態の関連,(iii) 拡張ハバードラダーにおける強磁性基底状態,について講演する.まず(i)について,高温超伝導体の発見直後,RVB状態の現象論的模型として提案された量子ダイマー模型であるが,現実の磁性体での実現例はこれまで知られていなかった.フラストレート磁性体としてダイヤモンド鎖上のハイゼンベルグ系が1990年代より調べられてきたが,この系の高次元版を考えることにより,低エネルギー有効ハミルトニアンとして量子ダイマー模型が実際に得られることを示す.次に(ii)について,球体カゴメ系とは三角形の頂点共有構造を持つ20-12面体(頂点30個)上のハイゼンベルグ系(30サイトのクラスター磁性体)のことであり,2次元カゴメ格子との類似性に興味が持たれる.現実の物質としては{W72V20}と{Mo72V30}がある.我々がこれまで行ってきた理論計算と実験データの対比について紹介する.最後に(iii)では,最近接サイト間のクーロン相互作用まで考慮した拡張ハバードラダーのhalf-filling近傍を考える.half-filling直上の電荷秩序相にキャリアドープをすると,強磁性秩序が付随して現れることが密度行列くりこみ群による計算で示されていた.我々は,電荷秩序相中のキャリアの有効ハミルトニアンを求めることにより,この強磁性秩序形成のしくみを議論する.

平成30年9月27日(木)15:00〜 場 所: A313 室

講演題目:強磁性超伝導体の磁場誘起現象

講演者: 青木 大(東北大学 金属材料研究所)

講演概要:

強相関電子系の物理において、強磁性と超伝導の共存が注目を集めている。スピン三重項という通常とは異なる超伝導が実現していると考えられているからである。これまでに知られている強磁性超伝導体はすべてウラン化合物である。これらの系に磁場を加えると、強磁性ゆらぎが強く関与した磁場誘起(強化型)超伝導が発現していることがわかって来た。超伝導の源となる強磁性ゆらぎは、磁場やひずみによって制御可能であり、さまざまな磁場誘起現象が現れる。本講演では、最新の実験結果と強磁性超伝導の魅力を説明する。


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Last-modified: 2019-06-11 (火) 13:47:05 (1780d)