宮古高等学校でのSPP †2009年10月5日(月)、宮古高校においてサイエンス・パートナーシップ・プロジェクトによる講座が行われました。以下ではその内容について簡単にレポートします。 タイトルは 超伝導で実感する電磁場
です。 最初に:液体窒素で低温を体験しよう †超伝導は、液体窒素などを使って作る低温の環境で起こります。講座の最初では、まず液体窒素によって起こる物理現象のいろいろを紹介しました。 などです(なお、動画は普天間小学校で録画したものです)。 ↑液体窒素に手を入れてみる。数秒程度ならやけどしません。「なぜ??」と思いながら試してみます。実は液体窒素は手に触れた瞬間に蒸発してしまうので、手と接触しているのは液体窒素ではなく、すでに気体になった窒素なのです。 低温で起こる不思議な現象:超伝導による磁気浮上 †さて、低温で起こる不思議な現象の中でも、特に面白くて興味を惹くのが、超伝導による磁気浮上です。 ↑磁石の上で、超伝導体を入れた容器が浮かんでます(写真ではわかりにくいので、下の動画を見てください)。 小学校で同じ実験をした時の動画が以下にあります。 これを見た時の反応は、小学生でも高校生でも(大人でも)同じです。「えー!」「すごい!」「なぜ?」という声があがります。 この「超伝導による磁気浮上」という現象、どうして起こるのか??――その謎を解きましょう、というのが以後の授業のテーマです。 磁石の力を体験しよう †実際に触ってみる †世界最強と言われるネオジム磁石を触ってもらって、その力を経験するとともに「そこに磁力線(磁場)が存在している」ということを感じてもらいました。 磁力線をCGで確認する †↑磁石と磁石の間に働く反発力を、磁力線のCGを見ながら実感する。 CGのプログラムはここにあります。 ↑磁性流体という、磁力に反応する液体で磁力線を実感します。 磁石と電流の関係 †確かにネオジム磁石は強力です。でも「違う極が引き合う」「同じ極が反発する」という力だけでは、磁気浮上は説明できません。ここで「磁石が起こす物理現象って、他になかったっけ??――日常使われているもので、磁石を使っているものって何??」と聞いてみました。 少しかかりましたが、「モーター」「発電機」などがでてきました。というわけで、簡単なモーターと簡単な発電器を見せました。 発電の原理 †簡単な発電機、500回巻きのコイルに発光ダイオードをつけたものです。 コイルに磁石を出し入れすることで、発光ダイオードが発光します。 モーターの原理 †電池と導線、ネオジム磁石を使って簡単なモータを作って見せました。導線部分がくるくる回ります。 導体と磁石が起こす不思議な現象 †↑実際に手で触って、電磁誘導により電流が発生していることを「自分の手の手応えで」実感してます。銅>アルミ>アクリルの順に手応えが重くなります。 ↑導体棒の中で起こっている現象を、CGで示します。手で触れた「あ、重い」という感覚と「この中で電磁誘導によって電流が生まれた」という物理現象を結びつけます。 CGのプログラムはここにあります。 温度と電気抵抗 †この運動は、電気抵抗の大小で変化します。そこで、銅の棒を液体窒素で冷却して、電気抵抗を大きく下げてみましょう。 ↑実際に触って磁石を動かすことで、電気抵抗が大きくなったことを実感します(上の写真は狩俣中学校での映像です)。 磁気浮上はなぜ起こる?? †では、ここで討論の時間です。超伝導体の中では何が起こっていたのでしょう?? 皆、思い思いに考えを述べてます。 「こんなふうに磁束ができて…」とか話しているのかな?? それぞれの考えを発表してもらった後、CGなどを使ってどのようにして磁気浮上が起こるのか、簡単な説明を行いました。 CGのプログラムはここにあります。 もう一度、今度はどんなふうに磁力線が磁気浮上を実現しているのかを考えながら、実験装置を触ってもらいました。 最後にちょっと注意 †実際に磁気浮上が起こるメカニズムは、この他にも「ピン止め効果」というものが大きく効いていて、単純に電流だけで説明してしまうことはできません。しかし今回の講座での説明はあくまで超伝導の永久電流による効果の部分だけにとどめました。 また、今回の講座では超伝導そのものがどのように起こるかについてまでは言及してません。 この辺りの今回の講座を越える範囲については、受講した生徒さんたちが自分で興味を持って調べてくれることを期待します。 |