2011/07/19の授業内容です。

#mathJax()


{\bf \Large 「根底からの物理」}{\bf \Huge 微分方程式と友達になる}


\section{はじめに}
{\small 物理の問題を解くうち、おそらくは半分以上は「微分方程式を解く」ということに力が注がれているのではなかろうか。このテキストでは、「微分方程式を解く」とはどういうことか、どうやればいいのか、という話から始めて、微分方程式がどのように物理の役に立つのか、すなわち「微分方程式と友達になっておくといかにいいことがあるか」を説明していきたいと思う。}

\subsection{なぜ微分方程式はそんなに大事なのか}

それは、物理法則のほとんどが「微分形」で書かれているからである。「微分形で書かれている」というのは「微小変化と微小変化の関係式で書かれている」と言ってもよい。物理の主な分野における基礎方程式には、
\begin{description}
 \item[力学] 運動方程式、${\diff \vec p\over \diff t}=\vec F$または、$m{\diff^2\vec x\over \diff t^2}=\vec F$
 \item[電磁気学] マックスウェル方程式\footnote{まだ知らない人が多いかもしれないが、divだのrotだのも微分の一種。}、${\rm div}\vec D=\rho,{\rm div}\vec B=0,{\rm rot}\vec E=-{\partial \vec B\over \partial t},{\rm rot}\vec H=\vec j+{\partial\vec D\over \partial t}$ 
 \item[熱力学] 熱力学第一法則、$\diff U=T\diff S-P\diff V$ 
 \item[量子力学]シュレーディンガー方程式、$\tukkae{2}\I \hbar {\partial\psi\over \partial t}=H\psi$ 
\end{description}
のように、微分方程式だらけなのである。


なぜ物理法則(の多く)は微分方程式で書かれるのだろうか??

それは、多くの物理が「{\bf 局所性}」を持っているからである。局所性とは、「ある地点でおこる物理現象は、その地点にある物理量がどんな値を持っているかだけで決まる」ということである。

{\footnotesize たとえば、「この授業中に私が寝てしまうかどうか」はこの教室内で起こることだけで決まる、というのが「局所性」である。「いや、生協で昼ごはんをたくさん食べたことが影響する」あるいは「一つ前の授業がハードだったことがが影響する」などと疑問に思う人がいるかもしれないが、それは「私は今お腹いっぱい」あるいは「私は今疲れている」という形で「今の私」に影響を与え、その「今の私の状態」が「寝るか寝ないか」に影響を与えている。生協食堂で起こったことや前の授業で起こったことは「間接的影響」だけを与えているのである。}

多くの物理の問題は「ある時刻での状態がわかっているとして、次の状態を求める」という形式になる。そのような状況で使える物理法則は
\begin{equation}
\begin{array}{c}
  {\partial \over \partial t}(\vec x,tにある、ある物理量)=(その地点におけるいくつかの物理量の関数)
\end{array}
\end{equation}
という形の微分方程式にまとめられる。これは、その「ある物理量」の時間的な変化を表す方程式となる。


\section{一階常微分方程式からはじめよう}

まず、微分方程式の中でも一番単純な「一階常微分方程式」からはじめよう。「一階」はもちろん微分の階数を表す。「常」は「常微分のみで、偏微分は出てこない」ことを示す。

「一階常微分方程式を解く」とはどういうことか、何かを一言で言えば、
\begin{screen}
 $\diff x$と$\diff y$の関係が与えられた時、$x$と$y$の関係を求める。
\end{screen}
ということになる。

$\diff x$と$\diff y$の意味は、「$x$の微小な変化」と「$y$の微小な変化」ということになる。

$y$は$x$の関数であるから、「$x$を一つ決めれば$y$が一つ決まる」という関係にある。そこで「$x$をほんの少し($\diff x$)動かすと$y$はどれだけ($\diff y$)動くか」という「変化と変化の関係」を考えることができる。関数が与えられた時に$\diff y$と$\diff x$の比${\diff y\over \diff x}$を計算するのが「微分する」もしくは「導関数を求める」という操作である。

\vskip 3mm
\includegraphics[width=0.7\textwidth]{dxdy}
\vskip 3mm

もちろん、この$\diff x$と$\diff y$は「0にする極限」を取っているものとする。

微分という操作の逆を行い、「各点各点における$\diff y$と$\diff y$の比」を与えて「じゃあ今考えている関数はどういう関数なのか」を決めるのが「微分方程式を解く」ということなのである。一般には
\begin{equation}
{\diff y\over \diff x}=f(x,y) 
\end{equation}
のように右辺は$x$と$y$の関数で書かれる。これは、
\begin{equation}
 \diff y = f(x,y)\diff x
\end{equation}
のように$\diff y$と$\diff x$の比が決まる、と書いても同じことである。

なお、数学的に厳密な話をする時には「$\sitatukkae{-1.2}{2.8}{\diff y\over \diff x}$は$\diff y$と$\diff x$の割り算ではない」ということを強調する場合がある。しかし、物理で使う範囲についてはあまり細かいことを気にせず「微小変化$\diff y$と微小変化$\diff x$の比が$\sitatukkae{-1.2}{3}{\diff y\over \diff x}$である」と考えておいて大丈夫である。

\subsection{まずは簡単な微分方程式から}
では、
\begin{itembox}{もっとも簡単な微分方程式}
$${\diff y\over \diff x}=0$$
\end{itembox}
を解いてみよう。

\wrapfig<0>[8](0,2mm){16}{dydx0}
微分して0なのだから
\begin{equation}
 y=(定数)\label{yteisuu}
\end{equation}
が答なのはすぐにわかる。これを図形的に表現しておくと、右のようになる。${\diff y\over \diff x}=0$ということは「傾きが0」を意味するのだから、今考えている関数はグラフに書き込んだ矢印の方へ矢印の方へと伸びることになる。

そうやって伸ばしていった線とはつまりグラフで言えば「水平線」なのであり、その「水平線」を式で表現したものが式(\ref{yteisuu})の「$y=(定数)$」である。
\wrapfigend

「$\diff x$と$\diff y$の比」は今考えている曲線\footnote{一般に「曲線」と言った時は、直線を特殊な場合として含む。}の「進む方向」を示していると考えればよい。「${\diff y\over \diff x}=0$」は「各点各点におかれた物体は左右方向(傾き0の方向)に進む」という意味だと解釈できる。そうすると、全ての物体は水平方向に動く。結果として、水平線がこの問題の解となる。水平線ならどの高さの水平線でも「${\diff y\over \diff x}=0$」を満たすから、$y=(定数)$が解となるのである。

\wrapfig<0>[10](0,0){16}{dydxa}
同様に
\begin{equation}
{\diff y\over \diff x}=a
\end{equation}
という微分方程式($a$は定数とする)を考えると、その解は
\begin{equation}
y=ax+C
\end{equation}
となる。

$C$は「積分定数」と呼ばれる定数で、後で(問題の条件に合うように)選ぶことができる。この$C$を入れずに$y=ax$としても「解のうち一つ」は表現できている。しかし、元々微分方程式の目的は「各点各点の局所的な情報から全体を知る」ことであった。$y=ax$で表現できるのは考えている$x$-$y$平面のうち、ある特定の直線の上での関係しか求めていないことになる。
\wrapfigend


\subsection{少しだけ微分方程式らしく}

\wrapfig<0>[](0,0){20}{dydxx}
では、もう少し解きがいのある微分方程式に進もう。
\begin{equation}
 {\diff y\over \diff x}=x
\end{equation}
の場合、グラフの点に$\sitatukkae{-1.3}{3}{\diff y\over \diff x}$によって表現される「方向」を図示すると、右の図のようになる。円の中に書かれた線分が、円の中心における$\sitatukkae{-1}{3}{\diff y\over \diff x}$を示している。

傾き$\sitatukkae{-1.3}{2.5}{\diff y\over \diff x}$は$x=0$の点($y$軸上)では0であり、$x$が大きくなると傾きも大きくなる($x=1$のところで、傾き1、つまり角度にして45度、ラジアンにして$\sitatukkae{-1.2}{3}{\pi\over 4}$になっている)。$x<0$の領域では、傾きもマイナス(右下がり)になる。
\wrapfigend

この図は$\sitatukkae{-1.2}{3.2}{\diff y\over \diff x}=x$の別の表現であるが、どちらも「各点各点で我々はどちらへ進むべきか」を表現している。つまり「ある一点での物理」の表現なのである。これから「ではこの道しるべに従って進むと、どんな道を進むことになるのか」を知ることが「微分方程式を解く」ということに他ならない。

\wrapfig<0>[](0,0){20}{dydxxsolution}
図を見て考えても「放物線になりそうだな」ということは目で確認できるのではないかと思う。数式の方で見ても、「微分すると$x$になるということは?」と考えれば、
\begin{equation}
{\diff y\over \diff x}=x ~~~\to~~~ y={x^2\over 2}+C 
\end{equation}
が解であることは(あまり難しいことを考えなくても)わかる。


解となる$\sitatukkae{-1}{2}y={x^2\over 2}+C$で表される曲線を(いろんな値の$C$に対して)プロットしてみたのが右の図である。このような曲線を「解曲線」と呼ぶ\footnote{これもまた、直線であっても「解曲線」と呼ぶ。}。

後で任意に選べる積分定数$C$があって始めて解曲線が全ての点を通ってくれることに注意しよう。たとえば$\sitatukkae{-1}{3}y={x^2\over 2}$は解の一つではあるが、これだとたとえば$(0,1)$を通らないから、「この微分方程式に従って運動した場合、$(0,1)$からどこへ進むか」ということがわからなくなってしまう。
\wrapfigend

{\footnotesize 電磁気を勉強した人は、この$\sitatukkae{-1.3}{3.3}{\diff y\over \diff x}$と曲線の関係が「電場と電気力線と関係」に似ていると思ったかもしれない。電気力線も、その場その場の電場の方向を向いた曲線なのだから。

電気力線と微分方程式の解曲線の違いの一つは、電気力線は「密度が電場の強さに等しい」という性質があるが、解曲線の方にはそんな性質はない(密度には何の意味もない)。

もう一つの違いは、電気力線の「合流しない」「分裂しない」という性質が、微分方程式の形によっては成立しないことである。これは「微分方程式の解の一意性」という問題で、少々難しい。「一意性がある」とは「初期状態を決めたら終状態も一つしかない」ということで、物理で出てくるほとんどの方程式では、これが満たされている。
}

\wrapfig<0>[](0,3mm){20}{dydxy}
次に、
\begin{equation}
 {\diff y\over \diff x}=y\label{dydxy}
\end{equation}
を考えてみよう。この場合、$y=0$の時${\diff y\over \diff x}=0$で、$y$が大きくなるのに比例して傾きも大きくなっている。右の図のように「各点各点で${\diff y\over \diff x}$の向く方向」のグラフを描くことができるであろう。

右の図に、「どんな解曲線になるか」を書き込んでみよう(計算しての解答は後で述べる)。

数式で考えると、$\sitatukkae{-1.3}{3}{\diff y\over \diff x}=y$の意味は「$y$を微分したら元に戻る」ということであるから、「微分しても元と変わらない関数は何か?」を考えればよい。
\wrapfigend

\vspace{3mm}
\wrapfig<0>[9](0,-2mm){13}{chokusen}
後で、具体的計算からもこの答がちゃんと出ることを確認する(ここはまず、図でそういう関数にちゃんとなっていることを感じよう)。

もう一つ、
\begin{equation}
 {\diff y\over \diff x}={y\over x}\label{chokusen}
\end{equation}
という、図で考えるとわかりやすい微分方程式を考えてみよう。この式の意味は「考えている点における曲線の傾き$\sitatukkae{-1.3}{3.3}{\diff y\over \diff x}$は、原点からその点に引っ張った線の傾き${y\over x}$に等しい」ということである。右の図を参照せよ。
\wrapfigend

\wrapfig<0>[13](0,0){20}{dydxyx}
次のグラフに$\sitatukkae{-1.3}{3.3}{\diff y\over \diff x}$の方向を示したが、これを見るとわかるように、解は原点から放射状に出た直線のグラフとなる。つまり、この場合の解は




\begin{equation}
 y=(定数)x
\end{equation}
である。後で、計算によっても同じ答が出ることを確認しよう。


なお、これが正しいことの確認は$y=ax$であれば、${\diff y\over \diff x}={y\over x}=a$であることからすぐに検算できる。



次に、$\sitatukkae{-1.3}{3.3}{\diff y\over \diff x}$がいくつかの関数になっている場合の図を載せる。計算はとりあえず後にして、解曲線がどのような形になるかを予想しておこう。
\wrapfigend



\raisebox{13zh}{${\diff y\over \diff x}=-{x\over y}$} \includegraphics[width=0.45\textwidth]{dydxymxy}

\vspace{3mm}
\raisebox{13zh}{${\diff y\over \diff x}={x\over y}$} \includegraphics[width=0.45\textwidth]{dydxxoy}\label{zunomondai}

\vspace{3mm}
\raisebox{13zh}{${\diff y\over \diff x}={xy}$} \includegraphics[width=0.45\textwidth]{dydxxxy}

\vspace{3mm}
\raisebox{13zh}{${\diff y\over \diff x}={-xy}$} \includegraphics[width=0.45\textwidth]{dydxmxy}

\vspace{3mm}
\raisebox{13zh}{${\diff y\over \diff x}=\sin 2x$} \includegraphics[width=0.45\textwidth]{sin2x}

\vspace{3mm}
\raisebox{13zh}{${\diff y\over \diff x}={x+y}$} \includegraphics[width=0.45\textwidth]{dydxxpy}


\vfill\eject
ここまでで、「微分方程式を解く」ということがどういうことをやっているのかを、おぼろげながらに感じ取れてくれていれば幸いである。では次の節から、微分方程式を(数式として)どのように解くのかを説明していこう。



\section{変数分離}

微分方程式を解こうにも、図で考えて関数の形がわかることはむしろ少ない。ではどうすればよいか。そういう時こそ、数式での計算の出番である。ここではまず「変数分離」ができる場合を考える。変数分離ができるなら、それを使って解くのが一番単純である。

変数分離とは、たとえば${\diff y\over \diff x}=x$であれば、
\begin{equation}
\underbrace{\diff y}_{左辺はyのみ}=\underbrace{x\diff x}_{右辺は{xのみ}}
\end{equation}
のように、左辺と右辺に変数を分離してしまうことである。




\FAQ{${\diff y\over \diff x}$の分母を払っていいのですか?}{よい。物理で使う範囲についてはあまり細かいことを気にせず「微小変化$\diff x$と微小変化$\diff x$の比が${\diff y\over \diff x}$である」と考えておいていい、と前にも書いた。$\tukkae{1.8}{\diff y\over \diff x}=x$と$\diff y=x \diff x$は、どちらも同じように「$\diff y$と$\diff x$の比が$x$だ」ということを表現している。
}


こうしておいて、左辺と右辺をそれぞれ積分する。すなわち、
\begin{equation}
\begin{array}{rl}
  \int \diff y =& \int x \diff x\\
  y =& {x^2\over 2}+C
\end{array}
\end{equation}

\FAQ{積分定数は両辺にいらないの?}{両辺につけてもいいが、右辺だけ(あるいは左辺だけ)でも同じことである。両辺につけたい場合、積分定数は左辺と右辺では違う文字(違う値)にして({\small 中には同じ記号にして「両辺にあるから」と消す人もいる!})、
$$
y+C' = {x^2\over 2}+C
$$
とする必要があるが、これは
$$
y= {x^2\over 2}+C-C'
$$
と変形して、$C-C'$を別の定数(たとえば$D$)と置けば
$$
y= {x^2\over 2}+D
$$
となる。$C,C'$の値はまだ決めてないのだから、まとめて未定の定数$D$にしていいわけである。
}

一般的に、一階常微分方程式が
\begin{equation}
 {\diff y\over \diff x}=f(x)g(y)
\end{equation}
の形をしていれば、
\begin{equation}
 {\diff y\over g(y)}=f(x)\diff x
\end{equation}
の形に変数分離できる。

(\ref{dydxy})の${\diff y\over \diff x}=y$もこの方法で解ける。
\begin{equation}
\begin{array}{rll}
 {\diff y\over \diff x}&=y\kokode{y\diff xで割る}\\
 {\diff y\over y}&=\diff x \kokode{両辺を積分する}\\
\int {\diff y\over y}&=\int \diff x \kokode{積分の結果}\\
 \log y&= x+C \kokode{両辺を\exp の肩に乗せて}\\
 y&=\E^{x+C}
\end{array}
\end{equation}
という計算である。$\E^C$をまた別の定数$a$とすれば、$y=a\E^x$という答になる。

(\ref{chokusen})を変数分離で解いてみよう。
\begin{equation}
\begin{array}{rll}
   {\diff y\over \diff x}=&{y\over x}\kokode{両辺をyで割り、\diff xをかける}\\
{\diff y\over y}=&{\diff x\over x}\kokode{積分して}\\
\log y =& \log x +C\kokode{両辺を\exp の肩に乗せて}\\
y=& x \E^C
\end{array}
\end{equation}
となる。$\E^C$はまた一つの定数だから、$y=ax$($a$は定数)が解となる。確かに、図で考えた通りの答が出てきた(この問題に関しては、図の方が簡単である)。

\QBOX{\Q{以下の微分方程式を変数分離を使って解け。

\vspace{3mm}
(1)  $\sitatukkae{-1.3}{3.3}{\diff y\over \diff x}=-{x\over y}$~~~
(2)  $\sitatukkae{-1.3}{3.3}{\diff y\over \diff x}={x\over y}$~~~
(3)  $\sitatukkae{-1.3}{3.3}{\diff y\over \diff x}=xy$~~~
(4)  $\sitatukkae{-1.3}{3.3}{\diff y\over \diff x}=-xy$~~~
(5)  $\sitatukkae{-1.3}{3.3}{\diff y\over \diff x}=\sin 2x$~~~

\vspace{3mm}
これらは\pageref{zunomondai}ページの図の微分方程式の中にもある。図で行なった予想と結果を比較し確かめよ。

}

\Q{以下の微分方程式を変数分離を使って解け。

\vspace{3mm}
(1) $\sitatukkae{-1.3}{3.3}{\diff y\over \diff x}=-{y\over x}$~~~
(2) $\sitatukkae{-1.3}{3.3}{\diff y\over \diff x}={x^2\over y}$~~~
(3) $\sitatukkae{-1.3}{3.3}{\diff y\over \diff x}+y^2 \sin x=0$
\vspace{3mm}

なお、解は全て$y=F(x)$という形に整理できるとは限らないので、無理にその形に持っていかなくてもよい。
}
}

\section{一見変数分離できないが工夫するとなんとかなる場合}


微分方程式
\begin{equation}
 {\diff y\over \diff x}={x-y\over x}\label{tokem}
\end{equation}
はこのままでは変数分離できない。そこでまず
\begin{equation}
x{\diff y\over \diff x}+y=x
\end{equation}
とする。こうしておいて、「左辺が${\diff (なんとか)\over \diff x}$の形にならないかなぁ?」と考えてみる。
\begin{equation}
 {\diff \over \diff x}\left(xy\right)= x{\diff y\over \diff x}+y
\end{equation}
となることがわかる。つまり解くべき方程式は、
\begin{equation}
 {\diff \over \diff x}\left(xy\right)= x
\end{equation}
なのである。これは$xy=z$とおいて、$z$の微分方程式
\begin{equation}
 {\diff z\over \diff x}=x
\end{equation}
だと思えばすぐに解けて、
\begin{equation}
 z= {x^2\over 2}+C~~~すなわち~~~
 y={x\over 2}+{C\over x}
\end{equation}
とわかる。

この方程式(\ref{tokem})は、
\begin{equation}
 {\diff y\over \diff x}=1-{y\over x}\label{toketoke}
\end{equation}
としてから、${y\over x}=w$として$w$の方程式として解くという方法もある\footnote{左辺が${y\over x}$の関数になる時、微分方程式は「同次形」であると言い、この時は${y\over x}$を変数として解くとよい。}。


\Q{${y\over x}=w$と置き直すことで、(\ref{toketoke})を解け。}

\Q{以下の微分方程式を解け。


(1) $\sitatukkae{-1.5}{3.5}{\diff y\over \diff x}={x^3-2y\over x}$~~~
(2) $(x+y)\diff x+(x-y)\diff y=0$~~~
(3) $\sitatukkae{-1.5}{3.5}x{\diff y\over \diff x}+3y={\sin x\over x^2}$

}
}


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