阿曽研究室

教官名教官研究室備考(実験室など)
阿曽(あそ) 尚文(なおふみ)理210-1理209、極低温施設

英語版(English Page)

専門・研究方法

 固体物理学。特に,希土類金属及び遷移金属の金属間化合物の極低温度領域における物性測定を中心に実験的に研究します。物性測定の研究が進展すれば,固体物理をミクロの立場から解明できるX線・中性子散乱により,化合物の構造や揺らぎの情報を研究します。(前者は研究基盤センター極低温施設と,X線回折は深水研究室と協力して研究を進めます。また,後者のうち中性子散乱は,琉球大学外での研究となるため,卒研時のテーマとはならず、修士以降のテーマとなります。)
 これらの化合物では磁性を担う電子と伝導電子の相互作用により,様々な物性(磁性,超伝導,重い電子状態)が出現します。私たちは特に磁性と超伝導が共存する重い電子系超伝導体に興味を持っています。両者はお互いに相容れないものと考えられてきましたが,近年幾つかの物質が開発され,これらの物性の根本的な原因は何であるのかを明らかにしていくことを楽しんでいます。

現在の研究テーマ

 簡単な実験装置を整備・製作するところから始めます。さらに,特定の金属間化合物の試料作成を行い,その低温物性を実験的に調べます。

測定内容:電気伝導、磁化、帯磁率、熱膨張・磁歪 等。さらに、X線・中性子散乱。
極限環境:強磁場、高圧、低温。
研究対象:金属系および磁性材料の物性研究

 具体的には、以下等になります。
1、重い電子系超伝導体CeTIn5(T=Co,Rh,Ir),CeTSi3(T=Rh,Ir)の磁性と伝導
2、重い電子系超伝導体UPd2Al3
3、UGe2の磁性と超伝導 (ウラン化合物は学生のテーマとしません。)
4、ペロブスカイト型Sr3Ru2O7の強磁性と構造相転移
5、低次元酸化物磁性体のスピンギャップ
6、巨大な電子比熱係数をもつ化合物YbCo2Zn20とその置換系物質

卒業研究

 「現在の研究テーマ」に関連するテーマを選びます。  いわゆる「卒業研究」の中には,研究のための基礎知識を得るための輪講(ゼミ)だけではなく,卒業研究のための実験装置の製作や実験,及びそのまとめ(卒研発表)があります。上記の定義に基づく「卒業研究」の中で,固体物理学または低温物理に関する知識を得るためのゼミを行います。初等の教科書を使い,週交代で担当者を決め,担当者が内容の発表を行う輪講形式とします。日本語の教科書を用いました。
 ゼミ(輪講)は週1回,2〜3時間程度です。この他に,週1回はミーティングを行い,過去1週間卒業研究に関して何をしたのか,今後1週間何をするのかを報告し,議論する予定です。また,夏休み中も基本的にはゼミ・卒業研究は行いますが,大学院受験や教育実習,就職活動を行う学生がいる場合には,学生と相談して決めます。
 また,卒業研究室の配属人数に関しては,教官1名で2人までと考えていますが,これ以上は応相談です。
 阿曽研究室は物性実験の研究室です。実験は,1つ1つのステップを少しずつこなしていかないと先に進みませんので,ある程度の時間がかかることを了解してください。手を動かして研究したいという気持ちのある学生が望ましいです。また,大学院に進学して学外(東京大学での共同利用実験,茨城県や海外での中性子散乱実験)での実験を行いたいという学生も歓迎します。

使用テキスト等

固体物理学に関する教科書(例えば、キッテル、アシュクロフト=マーミン、佐藤憲昭等)
磁性に関する教科書(金森、永宮等)
低温に関する教科書(Betts, An Introduction to Millikelvin Technology, Cambridge, 1989)
その他、必要に応じて紹介します。

研究室紹介

 研究室を若く,やる気のある皆さんと一緒に作り発展させていきたいと考えています。そのため,元気な学生を歓迎します。元気は無くとも,研究に必須な“まじめな”学生も歓迎します。

学生への一言・他

 卒業研究は,物理学の研究を一通り体験するとても大切な機会です。自分で考えて論理を組み立て,必要な実験を行い,データを解析する。さらに,まとめた結果を分かりやすく発表するという一連の過程を主体的に行うことが求められます。その過程で生じた問題点にも,自分自身で取り組んで行かなければなりません。しかし,困難が大きければ,それだけ達成感も大きくなります。4年間の大学生活の総決算ですので,悔いの残らないように取り組んで欲しい。
 4年次卒研配属の際には,必修となる科目はできるだけ履修済みであることが望ましいです。卒業研究の準備や実験には時間を要するため,4年次に履修授業が多いと卒業研究が進まないためです。また,プログラミングについては,卒業研究で直接必要になることはあまりありませんが,プログラミングが良くできる学生は,市販ソフトウェアを用いた実験データの解析等も早いようです。

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