正確に言うと重ねあわせの原理が成立するのは波の方程式が1次式になっている時だけです。

 さっき、我々の体を作っている物質もみんな「場」の作る波のようなものと言いました。もし二つの波が出会っても、「何事もなかったように通り過ぎる」のならば、我々は何も触れません。

 では、我々が何かを「触る」ことができるのはなぜでしょう??

 「手と物体がぶつかるから?」

 

 ではなぜぶつかるのでしょう?―今我々は素粒子の話をしているので、素粒子レベル(原子レベルよりももっと小さいところを見るようなレベル)で考えましょう。
 実は、原子の大きさはだいたい10-10m、原子核の半径はだいたい10-15m、つまり、原子の芯である原子核は、原子全体に比べて10万分の1の大きさです(体積にすると、1000兆分の1!)。
 そう考えると、原子なんて実は「すっかすか」なのです。「どうしてこんなにスカスカなの?」というのもまた、量子力学の面白い問題なのですが…。

 「すっかすか」なのに物体と物体が「ぶつかる」理由は原子がマイナスの電気を持つ電子とプラスの電気を持つ原子核からできていて、互いに電気的な力で反発するから(外側には電子同士がいることに注意)。

 そして、なぜここで電場が伝わっていくかというと、「場」と「場」の間に「相互作用」と呼ばれるエネルギーのやりとりがあるからです。

 これもあくまでイメージですが、黒い場●と紫の場を考えます。

以下↓の絵は動きません。ごめんなさいm(_ _)m。


 ↑のように、●が励起している状態で、●からへとエネルギーの受け渡し(相互作用)が起こって、

 ↑のように、●の振幅が小さくなり、の振幅が大きくなります。この後二つの励起がまた進行して、

のように進んでいきます。

 こうやってエネルギーのやりとり(相互作用)が起こることが「力を及ぼしあう」ということです。たとえば電子と電子の間の反発力は

電子電子光子

という相互作用により電子Aから光子が発射され、

電子光子電子

という相互作用によって電子Bが光子を受け取る、という現象によって起こります。 間を光子が飛ぶということがなかったら、電子は反発しないし、電子と陽子がひっぱりあうこともありません(ということは原子もできない)。

 「真空」に●がいっぱいあるにもかかわらず、触れない(相互作用でない)理由は、それがもはや最低エネルギー状態であって、他にエネルギーをあげることができないからです(逆はできます!真空にエネルギーを与えれば、粒子が誕生します)。普段真空とエネルギーをやりとしていない私達は「真空は何もないところ」と思ってしまうわけです(実は人間の手から体温による赤外線が出ているのだって一つの相互作用なのですが)