ベクトルポテンシャルとは何ぞや?

 電磁気で有用なベクトルポテンシャルというもの、「どうもよくわからん」という声がよくあるので、その物理的意味を理解する助けになるかもしれないことを書いてみる。そういう意味では、すでに電磁気をよくわかっている人にとっては「何をいまさら」な内容であることをお断りしておく。

 電磁気を勉強してベクトルポテンシャルなるものがでてきた時、「よくわからん」という感想を抱く人は多いようだ。何を隠そう、学生時代のわしもそうだった。その昔の自分を思い出してみるに、ベクトルポテンシャルについて「よくわからん」と言う人の多くは「ポテンシャルがベクトルってどうゆうこと?」という疑問を抱いているのではなかろうか。そこで話を始める切り口として、スカラーポテンシャルってのはどういう意味があるのか、というところから始めてみよう。静電ポテンシャルを図で書くと

poten.png
静電ポテンシャルの図

のような感じで、+電気のあるあたりは高く、−電気のあるあたりは低くなる。ここに電荷qを持った物体を置くと、q×(ポテンシャル)だけの位置エネルギーを持つ。そのため、qが正ならばその物体はよりエネルギーの低い(つまりポテンシャルも低い)方、つまり−電荷の近くに行きたがる。qが負なら、エネルギーの低い方はポテンシャルの高い方になるので、+電荷の近くに行きたがる。

 同じようにポテンシャルが出てくるのというと万有引力だが、この場合は(質量)×(ポテンシャル)がエネルギーになり、電気の場合と違ってプラス質量の周りはポテンシャルが低くなるので、正の質量を持った物体はポテンシャルの低い状態になりたがる、つまり互いに近づきたがる。

 以上のように考えると、スカラーポテンシャルとは「何か(電荷だったり質量だったり)をかけたら位置エネルギーになるもの」ととらえることができる。そうとらえると今度は「ベクトルポテンシャル」に出会った時、「ポテンシャル」でありながら「ベクトル」だということが奇妙に思えるわけだ。

 実は、ベクトルポテンシャルも「何かをかけたら位置エネルギーになる」という点では同じなのである。しかしそう言われたら当然の疑問として「その『何か』って何なのよ」と思うだろう。その「何か」はスカラーではない。なぜなら、ベクトルポテンシャルというベクトルとかけて、位置エネルギーというスカラーを答えとして出すものだからである。実はベクトルポテンシャルと「何か」ベクトルの内積をとることで位置エネルギーが出る。その「何か」とは何か。スカラーポテンシャルの場合、電荷とかけると位置エネルギーとなるのだから、その類推から考えると、ベクトルポテンシャルは電流との内積を取ると位置エネルギーになるのだな、と推測できるだろう。実際、その推測は正しい。より正確には、ちょっと余計な符号というやつがついて、ベクトルポテンシャルに電流をかけてマイナス符号をつけたものが、その電流の持つ位置エネルギーになる。

 それはどういう意味を持つのか、ということを実際に起こる現象を見ながら考えてみる。電荷とスカラーポテンシャルの場合、

電荷がスカラーポテンシャルを作る。
→電荷は(電荷)×(ポテンシャル)の位置エネルギーを持つ
→電荷は位置エネルギーの低い方へとひっぱられる。

のような現象として電荷と電荷の間に働く力が発生する。具体的には、+電気の周りはポテンシャルが高くなり、そこに別の+電気を置くとポテンシャルの低い方、つまりできる限り離れる方向へと行きたがる。

 電流の場合に起こる物理現象は

電流がベクトルポテンシャルを作る。
→電流は−(電流)×(ベクトルポテンシャル)の位置エネルギーを持つ
→電流は位置エネルギーの低い方へとひっぱられる。

となる。これを直線電流2本の場合で示したのが下の図である。

Vpotential.png
電流の周りのベクトルポテンシャル

 図を見てもらうとわかると思うが、電流Aの回りの空間にはその電流Aと同じ方向のベクトルポテンシャルが出現する。そのベクトルポテンシャルの中に別の電流Bがあると、電流Bとその場所のベクトルポテンシャルの内積と同じだけの位置エネルギーを電流Bが持つことになる。そして、物事はエネルギーの低い方へと進むのが普通だから、電流Bはよりエネルギーの低い方、すなわちベクトルポテンシャルの大きい方、つまりは電流Aの近くへとひっぱられる。これが、同方向の電流がひっぱりあう理由である。

 なお、同じことをベクトルポテンシャルを使わない電磁気で説明するならば、

電流の周りには右ネジの法則にしたがって磁場が発生する。
→磁場中の電流はフレミングの法則にしたがって力を受ける。

となるわけだが、ベクトルポテンシャルの立場では、右ネジの法則やフレミングの法則などを導入しなくても、平行電流の引力を説明できる。

磁場が右ネジの法則に従ってできることを図示すると次の図のようになる。

vectorPotential.png

↑クリックするとフルサイズで見ることができます。

電場は電位の傾きで得られた(\vec E=-{\rm grad}V)が、磁束密度はベクトルポテンシャルのrotである(\vec B={\rm rot}\vec A)。つまり、ベクトルポテンシャルを流れと見た時、その流れの中に水車を入れたら回転するのならば、その回転の軸方向に磁場ができている。

「ベクトルポテンシャルで磁場が表現できる」どころか、実は磁場を導入する必要さえない。

rotA.png
渦巻くベクトルポテンシャルの中の電流

 フレミングの左手の法則は次のように理解される。磁場はベクトルポテンシャルの回転だから、今紙面(CRT面?)の裏から表へ向かう向き(図の人差し指方向だ)に磁場があったとすると、その場所には渦をまいたベクトルポテンシャルがあることになる*1。左の図のような感じである。

 ここに図で黒矢印で描いたような電流があったとすると、どっちにいきたがるかというと、自分とベクトルポテンシャルが同じ方向を向く方である。その方が位置エネルギーが小さくなる(位置エネルギーを出す式の前ににマイナス符号があることに注意)。その方向はまさにフレミングの法則が示す力の方向である。

 もしこの場所に小さい磁石があったとしたらどちらを向きたがるだろうか?  磁石というのは、実は小さな円電流である。その円電流と円を描くベクトルポテンシャルとの内積が大きくなる(つまりは同じ方向を向く)ということは、この磁石のN極が紙面の表側に来い、ということだ。右ネジの法則なり右手親指の法則なりで確かめて欲しい。つまり、方位磁石が磁界の方を向きたがるということも、結局はベクトルポテンシャルと電流の内積を大きくしたがる、という自然法則によって起こると考えてよい。

 ちなみに右ネジの法則は上の直線電流の図を使って以下のように説明できる。  図で直線の右側では、右に行けば行くほどベクトルポテンシャルが小さくなる。この場所に小さい円電流を置いたとしたら、位置エネルギーがもっとも小さくなるのは円電流がどっちを向いた場合だろう?  フレミングの左手の法則の説明と同じようなことになるわけだが、ベクトルポテンシャルの大きい左側では電流が上を向き、右側で電流が下を向くように円電流が配置されればエネルギーは最小となる。つまり、小さい円電流が時計回りに回ればよい。円電流を方位磁石と見れば、方位磁石のN極が紙面表から裏へ向かう方向を向く、ということである。つまりこの方向の磁場が存在していることを示している。逆に図の左側では裏から表に向かう磁場ができていることになる。結局、電流Aのまわりを右ネジ方向に周回するような磁場ができていることがわかる。

 電磁気の本などではベクトルポテンシャルを導入する理由として、記述が簡単になるとか、マックスウェル方程式の数が電磁場の自由度に比べて多すぎるのどうのというようなことを第一にあげている場合が多いが、いったんこういうふうに

電荷はスカラーポテンシャルを電流はベクトルポテンシャルを作る。ベクトルポテンシャルとスカラーポテンシャルによって電磁的な位置エネルギーが決定される。

という考え方で電磁現象を理解してしまうと、電磁ポテンシャルが電磁気の本質であって、電場や磁場というものが二次的なものであるということが納得できるような気がするがどうだろう?


ここでちょっと補足。

 なぜスカラーポテンシャルだけで話が終わらないのだ、ベクトルポテンシャルなどというものを持ち出してきて電磁気学をややこしくするのはけしからん。

と、できることなら勉強する事項は一つでも少なくしたい学生さんから怒られそうなので、なぜベクトルポテンシャルが必要になるか、ということを相対論との関係にからめて注意しておこう。

 スカラーポテンシャルは電荷と、ベクトルポテンシャルは電流と結び付いているのだから「スカラーポテンシャルだけで話を終わらせろ」と言うのは「電荷だけで話を終わらせろ(電流なんて出てくるな)」と言っていることと同じなのである。そりゃ無理というものだ。電荷が動いたら電流は流れてしまう。いや、電荷が動かなくても、観測している方が動いたら、それだけで電流は(その観測者にとっては)流れてしまうのだ。だから実は「電荷が動くと電流になる」のと同様に「スカラーポテンシャルが動くとベクトルポテンシャルになる」のである。よってスカラーポテンシャルだけで話を終わらせるわけにはいかないのだ。つまり、ベクトルポテンシャルの存在は相対論的に必然なのである。

 下の図を見て欲しい。左側は静止している電荷であり、まわりにスカラーポテンシャルができている。電荷に近いところはスカラーポテンシャルは大きく、離れると小さくなる(用語的には「高くなる」「低くなる」と書くべきなのだが、後の都合上許して欲しい)。図ではフォントの大きさで表した。

spote.png
スカラーポテンシャル発生の図
 

これを動きながら見るとどうなるか。下の図のようになるのである。

 
vpote.png
ベクトルポテンシャル発生の図

 中心の電荷が動くだけでなく、回りの空間にベクトルポテンシャルが生まれる。このベクトルポテンシャルも、スカラーポテンシャル同様、電荷に近いところほど大きい。さてこんなふうにベクトルポテンシャルの大小が変化しながら分布しているところに方位磁石を置くとどうなるかというと、上に書いたように、電流は、ベクトルポテンシャルとの内積を大きくしたがる(その方がエネルギーが低いから)。方位磁石というのはミクロに見れば円電流である(鉄なら鉄原子一個一個が磁石であり、磁場の発生源は電子の運動)。それゆえ、方位磁石の電流は図の青い丸矢印のような方向に流れたがる。つまり方位磁石を置いたとしたら、これに垂直な方向を向く。これはつまり、電流に対して右ねじ方向に磁場ができる、ということを示している。電流があると磁界ができる、という現象は「電荷の回りのスカラーポテンシャルが動くとベクトルポテンシャルが発生する」という形で理解できるのである。

 ちなみに、このベクトルポテンシャルとスカラーポテンシャルの変換は相対論における空間と時間の変換、つまりローレンツ変換

x'=γ(x-βt)

t'=γ(t-βx)

と同じ式になっている(ちなみにγ=1/\sqrt{1-\beta^2}、βは速度。ただし光速度c=1の単位を使っている)。すなわち、

A'=γ(A-βφ)

φ'=γ(φ-βA)

である。

 電磁気学というのは相対論にのっとった作りになっている。正確に言うと電磁気にのっとった理論を考えたら相対論になったのだが。だから、電磁気の法則は相対論的、つまり「動きながらみてもちゃんと法則が成立する」ように作らないといけない。だから「電荷が動くと電流が発生する」ならば「スカラーポテンシャルが動けばベクトルポテンシャルが発生する」のは当然なのである。

  • 質問ですが、ベクトルポテンシャルに電流をかけてマイナス符号をつけるのは電子がマイナスのためでいいのでしょうか? -- TOZU? 2007-04-10 (火) 04:02:10 ;
    • (前野)いえ、違います。マイナス符号をつけるのは、ベクトルポテンシャルと電流の方向がそろっている(内積がプラス)の時にエネルギーが下がるようにです。スカラーポテンシャルの方は、電荷×スカラーポテンシャル(マイナス符号無し)がエネルギーです。この場合、同種電荷は反発します(離れる方がエネルギーが下がる)。ベクトルポテンシャルの場合はマイナス符号があるので、同方向電流は近づくほどエネルギーが下がります。つまり、同方向へ流れる電流の間には引力が働く、ということを表すマイナス符号なんです。
  • ベクトルポテンシャルは記述がしやすいだけと理解していました。なんとなく意味がわかりました。相対論との関係もとてもわかりやすいです。ありがとうございました。 -- FUYA? 2009-04-25 (土) 22:19:15
  • 非常にわかりやすい説明ありがとうございます。点電荷と微小電流要素とは、引力、斥力の違い以外はほとんど同じなんですね。 -- hh? 2011-03-18 (金) 17:07:21
  • はじめまして.磁場のエネルギー「−(電流)×(ベクトルポテンシャル)」のマイナス符号について質問です.物理的には前野先生の説明どおり,マイナス符号が付くことは理解できます.しかし -- jossey? 2013-09-15 (日) 20:56:11
  • (すみません,途中で送ってしまいました)しかしジャクソン(第2版)の式6.17や理論電磁気学(第2版)の第5章式4.2ではマイナス符号が付きません.これはなぜなのでしょうか. -- [[ jossey]] 2013-09-15 (日) 20:58:17
  • 「理論電磁気学」とジャクソンはチェックしてないのですが、「電流を作るエネルギーも含めて」ならばプラスに、「電流は外部から与えられるとしての位置エネルギー」ならマイナスになるので、その違いではないかと思います。上で説明しているエネルギーは、「電流を作り出すためのエネルギー」を勘定に入れてません。 -- 前野? 2013-09-15 (日) 21:07:30
  • (すみません,途中で送ってしまいました)しかしジャクソン(第2版)の式6.17や理論電磁気学(第2版)の第5章式4.2ではマイナス符号が付きません.これはなぜなのでしょうか. -- [[ jossey]] 2013-09-15 (日) 21:21:02
  • ご回答ありがとうございます.「電流を作り出すためのエネルギー」は「2×(電流)×(ベクトルポテンシャル)」となるのでしょうか.そして,「電流を作り出すためのエネルギー」と「電流は外部から与えられるとしての位置エネルギー」を足すと「+(電流)×(ベクトルポテンシャル)」になるということでしょうか.なおジャクソンや理論電磁気学では∫B・H dVを計算して∫A・i dV を算出しています. -- jossey? 2013-09-15 (日) 22:05:42
  • ご回答ありがとうございます.「電流を作り出すためのエネルギー」は「2×(電流)×(ベクトルポテンシャル)」となるのでしょうか.そして,「電流を作り出すためのエネルギー」と「電流は外部から与えられるとしての位置エネルギー」を足すと「+(電流)×(ベクトルポテンシャル)」になるということでしょうか.なおジャクソンや理論電磁気学では∫B・H dVを計算して∫A・i dV を算出しています. -- jossey? 2013-09-15 (日) 22:05:52
  • その考え方でいいです。B・Hで積分というのはまさに電流を作るためのエネルギーを計算している式になります。実際には${1\over2}\vec B\cdot\vec H$で、部分積分により${1\over2}\vec j\cdot\vec A$の形になります。電流一定という条件をつけてエネルギーを考えなおすと符号が変わります。 -- 前野? 2013-09-15 (日) 22:44:16
  • 「電流一定という条件をつけてエネルギーを考えなおすと符号が変わります。」がよくわかりません。具体的にどのように計算するのでしょうか。 -- jossey? 2013-09-16 (月) 00:40:45
  • このスペースで全部書くのは無理なのでざっと述べると、まず全エネルギーは実際には$U=-{1\over2}\vec A\cdot\triangle\vec A$です。$\vec j=-\triangle \vec A$というのは、${\partial U\over \partial \vec A}$とも書けます。ここで$U$を、$\vec A$を変数でなく$\vec J$を変数とするように書きなおすので、いわゆるルジャンドル変換$\tilde U=U-\vec A\cdot{\partial U\over \partial \vec A}$を行うと、$\tilde U={1\over 2}\vec j\cdot \vec A-\vec j\cdot \vec A$となって、ちょうど逆符号になります。 -- 前野? 2013-09-16 (月) 01:34:58
  • この説明だとちょっとわかりにくいかもしれませんが、今考えているエネルギーだけではなく、外部にエネルギーを供給して電流を一定に保ってくれるようなものがあって、そいつの持っているエネルギーが後から足す$-\vec j\cdot\vec A$の部分になっていると考えればよいです。 -- 前野? 2013-09-16 (月) 01:56:59
  • ご回答ありがとうございます.…が,ちょっとよくわかりませんでした.詳しく勉強したいのですが,この議論を扱っている文献はないでしょうか.日本語,英語問いません. -- joeeey? 2013-09-16 (月) 21:28:14
  • たぶん太田浩一さんの「電磁気学の基礎I・II」ならどこかに書いてあるんではないかと。 -- 前野? 2013-09-16 (月) 22:02:53
  • すみません,便乗させていただきますが,$\tilde{U}$はある$\vec{A}$の中に電流が放り込まれたときに,その電流が持つことになるエネルギー,$U$は電流と磁場の全エネルギーということで合っていますか. -- minkow? 2013-11-24 (日) 05:51:05
  • すみませんがもう一つお願いします.$\frac{\partial U}{\partial \vec{A}}$の計算をする際,変分をとるのは$\vec{A}$だけで,$\Delta \vec{A}$の変分は取らないと考えると$\vec{j} = \frac{1}{2} \frac{\partial U}{\partial \vec{A}}$とはならないでしょうか. -- minkow? 2013-11-24 (日) 05:55:46
  • すみませんがもう一つお願いします.$\frac{\partial U}{\partial \vec{A}}$の計算をする際,変分をとるのは$\vec{A}$だけで,$\Delta \vec{A}$の変分は取らないと考えると$\vec{j} = \frac{1}{2} \frac{\partial U}{\partial \vec{A}}$とはならないでしょうか. -- minkow? 2013-11-24 (日) 05:59:18
  • 実はそもそもエネルギーを「分離」するというのが単純にできることではないのですが、「$\tilde{U}$はある$\vec{A}$の中に電流が放り込まれたときに,その電流が持つことになるエネルギー,$U$は電流と磁場の全エネルギー」というのは、だいたいあってます。大事なのは「何を固定しての変分としてエネルギーの変化(仕事)を定義するか」というところにあります(このあたりの説明どっかにまとめようと前から思ってるんですがまだできてない)。 -- 前野? 2013-11-24 (日) 08:50:52
  • 「変分をとるのは$\vec{A}$だけで,$\Delta \vec{A}$の変分は取らない」というのは不合理な計算なので、それはできません(オイラー・ラグランジュ方程式を出す時は場とその微分は常に連動して変分取ります)。 -- 前野? 2013-11-24 (日) 08:51:55
  • $U$に$\vec{A}$の2階微分があるから,場の1階微分までしか含まないラグランジアン密度みたいな量とはかけ離れた印象を持ってしまいましたが,定義に従ってオイラーラグランジュ的な微分を計算すると確かに$-\Delta \vec{A}$になりますね.ルジャンドル変換はオイラーラグランジュ的な微分で行うのですか.その辺り少し勉強してみます. -- minkow? 2013-11-24 (日) 10:13:13
  • いくつか同様の質問が上がっていて申し訳ないのですが,重ねて質問させてください.電流の作るベクトルポテンシャルは-j・Aというのは,単体では理解できるのですが,他の本やサイトでよく出てくる公式としては,+j・Aです(厳密にはvで積分しています).上のコメントなどでは,+j・Aのほうは電流を作りだすエネルギーも含んでいるとのことですが,そうだとすると,2つの並行電流が位置エネルギーとしては低下するので近づくが,+j・AにおいてAが増大するので,総エネルギーは増大していくということでしょうか. -- 2014-07-13 (日) 01:50:51
  • いくつか同様の質問が上がっていて申し訳ないのですが,重ねて質問させてください.電流の作るベクトルポテンシャルは-j・Aというのは,単体では理解できるのですが,他の本やサイトでよく出てくる公式としては,+j・Aです(厳密にはvで積分しています).上のコメントなどでは,+j・Aのほうは電流を作りだすエネルギーも含んでいるとのことですが,そうだとすると,2つの並行電流が位置エネルギーとしては低下するので近づくが,+j・AにおいてAが増大するので,総エネルギーは増大していくということでしょうか. -- 2014-07-13 (日) 01:54:57
  • まず定性的な議論を書いておきます(数式を使った定量的な話はここではちょっと狭すぎるので、いずれページの別の場所で)。まず正しくはベクトルポテンシャル内にある電流密度のエネルギーが$-{1\over2}\vec j\cdot\vec A$で、こちらの方が「電流を作っている外部(以下、「電流源」)の持つエネルギー」も含めたエネルギーです。簡単のため電気抵抗は無視して、電流源がある場合とない場合を比較してみます。 -- 前野? 2014-07-14 (月) 06:39:15
  • 電流源がない場合を考えます。「ない」というのは「電流を作った後で電池から取り外された」という状況でいいです(最初っから最後まで電流源なかったら電流も今は流れてないでしょうから)。たとえば二つの超伝導コイルに同じ向きに電流が流れている場合を考えましょう。平行電流は引き合うのでこのコイルは(固定されてなければ)近づきます。ということは位置エネルギーは減るわけです。しかしこの時の位置エネルギーは電流源を含まない方である${1\over2}\vec j\cdot\vec A$です。これは一件、『近い方が$\vec A$が大きくなるから、増えるのでは?(この符号間違っているのでは?)』という印象を受けるかもしれません。しかし、この場合、電流そのものが減るので、位置エネルギーは減ります。 -- 前野? 2014-07-14 (月) 06:44:39
  • 電流が減る理由は、電磁誘導です。平行電流が流れているコイルが近づくと、単純には「磁束が増える」状態になり、レンツの法則により磁束密度を減らす方向の起電力が発生します。もし電流源が外部にあれば電流源がそれに抗してエネルギーをコイルに注入することで電流は保たれるのですが、今は電流源がないので、誘導起電力が電流を弱める方向に発生すれば、電流は減ります。こうして、この場合、コイルが近づけば電流も減り、${1\over 2}\vec j\cdot\vec A$という位置エネルギーも、減ります。 -- 前野? 2014-07-14 (月) 06:47:36
  • 外部に電流源があると、電流は減りません。その場合、位置エネルギーを$-{1\over2}\vec j\cdot \vec A$と考えると(この場合コイルを流れる電流は変化せず、コイルがある位置の$\vec A$が増大し、結果として全位置エネルギーが下がる)とちゃんと「近づくと減るエネルギー(つまり引力を作るエネルギー)」になっています。それは「電流源が仕事をしてくれるから」ということです。 -- 前野? 2014-07-14 (月) 06:51:29
  • つまり、「+j・AにおいてAが増大するので,総エネルギーは増大していくということでしょうか」というご質問に対する答えは「Aが増大するがjが減るので、やっぱりエネルギーは下がる」ということです。どちらの場合も、「近づけばエネルギーが下がるからこそ、近づく」という結果になってます。 -- 前野? 2014-07-14 (月) 06:53:41
  • なお、上で「jが減る」という書き方をしましたが、実際のjは「コイルの外では0、コイル内ではある値(おおざっぱにコイルに流れる電流÷コイルの断面積)になっています。実際にはコイルが移動しているのでjは(さっきまでコイルがなかったけど今はある)という場合は増加していることになります。上で「減る」と言っているのは、「コイル内」どうしで比較しているという意味です(その点説明が足りなかったので補足しました)。 -- 前野? 2014-07-14 (月) 06:56:11
  • すいません、もう一つ補足説明。上のコメントでは${1\over2}$をつけて説明してしまいました。実は$\vec j$が$\vec A$を作っている場合は${1\over2}$が必要で、外部の電流が作った$\vec A$の中に$\vec j$がいる場合は${1\over2}$が要りません。 -- 前野? 2014-07-14 (月) 07:20:10
  • 「jがAを作っている場合」には「P点のjがQ点にAを作る」のと「Q点のjがP点にAを作る」の二つの現象が起こり、このエネルギーが同じになり、合わせることで${1\over2}$が消えます。上の方にある説明では「別の電流が作った$\vec A$の中に電流密度$\vec j$がいる」という状況なので、${1\over2}$のない方になってます。 -- 前野? 2014-07-14 (月) 07:22:59
  • 説明が長くなるので、別項目電流密度のエネルギーとルジャンドル変換を書きました。「ルジャンドル変換」というもの(←これもわからなくて困る人が多いようですが)の理解にも役立つかと思います。 -- 前野? 2014-07-14 (月) 17:08:23
  • ∇・h= 0のベクトル場h はh = ∇×Aで表せるということの証明が欲しいです -- グッピー? 2016-12-08 (木) 10:06:59
  • ベクトルポテンシャルにはゲージ変換分の違いがありますので、平行電流をそのうちの特定のベクトルポテンシャルに結びつけるのはいかがなものでしょうか。rを導線からの距離とすると(0,0,-logr)も(xz/r^2,yz/r^2,0)も同じベクトル場のポテンシャルです。 -- toorisugari? 2017-05-24 (水) 10:53:43
  • ゲージ変換を持ち出すまでもなく(0,0,-log r)はr<1では電流と同じ方向ですが、r>1では逆方向になります。 -- toorisugari? 2017-05-24 (水) 11:24:55
  • もちろんそういうことはわかっているのですが、「ベクトルポテンシャルってなんだか意味がわからん」という人のための取っ掛かりですので、「クーロンゲージを取って$\triangle \vec A=-\vec j$にした場合の話なんだな」と思ってお読みください。 -- 前野? 2017-05-24 (水) 11:28:36


*1 註:磁場があるからと言ってベクトルポテンシャルが文字通り渦を巻く必要は実はない。たとえば左と右で左の方が大きくなっていたりすれば十分である。図はとりあえず一番わかりやすい状況を描いていると思って欲しい。

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Last-modified: 2017-05-24 (水) 11:28:37 (511d)