先週は棒状電荷についてやった後円盤状電荷の絵を少し見せたところで終わったので、今日は円盤状電荷の計算を先にやり、後で動く図を見せるという順番で授業した。

1.5.2 円状の電荷による電場\vec E_{}

一様に帯電した円盤による電場\vec E_{}を考えよう。

円盤を微小にわける時は、x,y方向に四角形に切っていっても考えられないことはないのだが、図のように2次元平面上に極座標(r,θ)を張って*1、まずr〜r+{\mathrm d} r、θ〜\theta+{\mathrm d}\thetaの範囲に入る部分を「微小面積」として取り出して考える方が計算しやすい。

後でrを0からr_0(円の半径)まで積分し、θを0から2πまで積分すれば(つまり、円全体について足し上げれば)、円盤上の全電荷を考えたことになる。

enban.png

この微小部分は、r方向に長さ{\mathrm d} rを持ち、θ方向に長さr{\mathrm d}\thetaを持つ(長さ{\mathrm d}\thetaではないことに注意。ラジアンの定義を思い出せ)ので、面積はr {\mathrm d} r {\mathrm d}\thetaとなる。よってこの微小部分には、\sigma r {\mathrm d} r {\mathrm d}\thetaの電荷が入っている。

この微小部分を計算するとき、θ方向の幅はrdθとして計算しても、(r+dr)dθとして計算しても最終結果は一緒になる。それはなぜかというと、最終結果はdr→0、dθ→0という極限だけを考える。ここで考えた面積rdrdθは微小なdrとdθを一個ずつ含むので「二次の微小量」。後で0になる極限を考えるが、積分という計算をするということは「微小量を無限個かき集める」という計算をしている。二重積分するので、二次の微小量は有限の値になる。

ところが、rとするかr+drとするかの差は、r dr dr dθとなって、3次の微小量だから、消えてしまう。

この微小電荷が円盤の中央上空距離zの場所(図のP点)に作る電場\vec E_{}の強さは、{\sigma r {\mathrm d} r {\mathrm d}\theta\over 4\pi \varepsilon_0 R^2}である。そこでこれを積分して…とやると、大間違いである。

なぜなら、この電場\vec E_{}は斜めを向いている。一方最終結果(足し算=積分が終わった後)に効くのは鉛直上向き成分だけであろう。ゆえに、

{\sigma r {\mathrm d} r {\mathrm d}\theta\over 4\pi \varepsilon_0 R^2}\times {z\over R}

という電場のz成分を積分すればよい(x成分やy成分は忘れていい)。

じゃあ、{\sigma r {\mathrm d} r {\mathrm d}\theta\over 4\pi \varepsilon_0 R^2}をそのまま積分したらどうなるんですか?

実際に電場より大きいものになっちゃいますね。実は消し合っている部分を消さないで計算しちゃうことになるから。

ここまでRと書いてきた量は実際にはR=\sqrt{z^2 + r^2}であるから、それを代入して、

{\sigma z\over 4\pi \varepsilon_0} \int_0^{r_0} \int_0^{2\pi}{r {\mathrm d} r {\mathrm d}\theta\over  \left(z^2+r^2\right)^{3/2}}

という積分を行えばよい(積分と関係ない数は先に外に出した)。

この積分のうち、{\mathrm d}\theta積分はなんなく終わり(被積分関数の中にθがないから)、答は2πである。つまり、後は

{\sigma z\over 2 \varepsilon_0} \int_0^{r_0} {r {\mathrm d} r \over  \left(z^2+r^2\right)^{3/2}}

をすればよい。この積分もr= z\tan\phiとして考えればできる(r^2=tとおいて積分する方法もある)。{\mathrm d} r = {z\over \cos^2 \phi}{\mathrm d}\phiと置き直して、

{\sigma z\over 2 \varepsilon_0} \int_0^{\phi_0} {z \tan\phi \over  \left(z^2+z^2\tan^2\phi\right)^{3/2}}\times {z\over \cos^2\phi}{\mathrm d}\phi ={\sigma \over 2 \varepsilon_0} \int_0^{\phi_0} {\tan\phi \over  \left(1+\tan^2\phi\right)^{3/2}}\times {1\over \cos^2\phi}{\mathrm d}\phi

となる。1+\tan^2\phi={1\over\cos^2\phi}、つまり{1\over \left(1+\tan^2\phi\right)^{3/2}}=\cos^3 \phiを使ってさらに簡単にすると、

{\sigma \over 2 \varepsilon_0} \int_0^{\phi_0} \sin\phi {\mathrm d}\phi= {\sigma \over 2 \varepsilon_0} \left[-\cos\phi\right]_0^{\phi_0}= {\sigma \over 2 \varepsilon_0} \left[-\cos\phi_0 + \cos 0\right]= {\sigma \over 2 \varepsilon_0} (1-\cos\phi_0)

もしx成分やy成分を計算したとしたら?

もちろん、ちゃんと計算しても0になります。これはsinθやcosθを、θ=0からθ=2πまで積分する、という計算になるので、三角関数は一周積分するとがプラスマイナスが同じだけ現れて消えます。

図から、\cos\phi_0={z\over \sqrt{z^2+(r_0)^2}}である。これで最終結果は

E=  {\sigma \over 2 \varepsilon_0} \times {\sqrt{z^2+(r_0)^2}-z\over\sqrt{z^2+(r_0)^2}}
(円盤の作る電場の式)

となった。最後の式では、\pi (r_0)^2\sigma =Q(電荷密度\times面積=電荷)であることを使って書き直している。

ここで、棒電荷の時に長さを0にした時に点電荷の式に戻ったように、r_0\to0の極限を取ると点電荷の式になることを確認しておこう。

この時、(電荷/面積)であるσは発散してしまうので、\sigma ={Q\over 4\pi (r_0)^2}として

E={Q \over 2\pi \varepsilon_0 (r_0)^2} \times {\sqrt{z^2+(r_0)^2}-z\over\sqrt{z^2+(r_0)^2}}

とする。この式は分母2\pi \varepsilon_0 (r_0)^2にも、分子\sqrt{z^2+(r_0)^2}-zにも、r_0\to0において0になる量が入っているので(0/0)の不定形である。

\sqrt{1+x}\simeq 1+{1\over2}xという公式を使う。

その公式どこから来るんですか?

一つの計算の仕方はテーラー展開。

(\sqrt{1+x})'={1\over2\sqrt{1+x}}

なので、

\sqrt{1+x}\simea 1+{1\over 2}x+\cdots

となる。あるいは、別の方法としては、

\sqrt{1+x}\simeq 1+\alpha x

とおいてみて、両辺を自乗すると、

1+x=1+2\alpha x + {\alpha^2}x^2

となる。xが小さい場合を考えているのだから、最後の2次の項は省略して、

1+x=1+2\alpha x + {\alpha^2}x^2

となるためには、\alpha ={1\over2}である。、

では公式を使って、

\sqrt{z^2+(r_0)^2}=z\sqrt{1+\left({r_0\over z}\right)^2}

と変形し、さらに

z\sqrt{1+\left({r_0\over z}\right)^2}\simeq z\left(1+{(r_0)^2\over 2z^2}\right)

と書き直す、これにより、

E={Q \over 2\pi \varepsilon_0 (r_0)^2} \times {z\left(1+{(r_0)^2\over 2z^2}\right)-z\over\sqrt{z^2+(r_0)^2}}

となり、分子を計算すると{(r_0)^2\over 2z}となり、分母の(r_0)^2と消し合うので、

E={Q \over 2\pi \varepsilon_0 } \times {1\over2z\sqrt{z^2+(r_0)^2}}

であり、r_0\to0で、

E={Q \over 4\pi \varepsilon_0 z^2}

となり、見事に点電荷の式と一致する。

角度\phi_0を使った式では、どうやって極限を取るんですか?

その場合、\phi_0が0になってしまうので、やはり不定形ですね。その場合は、

\cos\phi_0 \simeq 1- {1\over2}(\phi_0)^2 +\cdots

というcosのテーラー展開を使って、さらに\phi_0が小さいなら、\phi_0={z\over r_0}になることを使えばいいでしょう。

次に、r_0\to\inftyの極限を取ってみよう。つまり、無限に広い平面上に電荷がたまっている場合である。この時、\cos\phi_0=0である(図で考えるとわかるように、この極限は\phi_0が直角になる極限だ)。よって、この時の電場\vec E_{}{\sigma\over 2\varepsilon_0}となってしまう。つまり、場所によらない定数なのである。もし、無限に広い板に一様に電荷が溜まっていたら、その板の作る電場\vec E_{}はどんなに遠くに行っても弱まらないことになる。

現実には無限に広い平面に電荷を一様に溜めるなどということはできないから、どこまでも弱まらない電場\vec E_{}というのはもちろんできない。

なぜこのようになるのかは、ガウスの法則を学ぶと納得できる(さらに、なぜ分母に2があるのかも深く納得できるはずだ)。

ここで、円盤状の電荷が作る電場を描くプログラムを見せた。

heimen1.png

この図の赤矢印が微小部分の作る電場であるが、最終結果に効くのは、そのz成分の紫矢印である。積分する中身にはrE_zが出てくるが、それのグラフが左にあるもの。単純に考えると距離が短いとどんどん電場が強くなりそうだが、rが小さいと面積(2πr dr)も小さくなってしまうので、積分には大きくは効かない。

1.5.3 球殻状の電荷による電場

次に球殻の上に一様に分布している場合を計算する。そこでまず、どんなふうな積分をしなくてはいけないかを、球殻電荷の電場を描くプログラムを見せた。

zrcostheta.png

このプログラムではφ方向の積分はアニメーションするが、θ方向に関しては自動ではなく、自分でスライダを動かす。

次に微小部分の面積を見せるプログラムを見せた。

kyutai.png

図の赤い部分の面積が、r^2\sin\theta{\mathrm{d}}\theta {\mathrm{d}}\phiとなる。

この計算は、テキストの少し後ろ、42ページの絵を見た方がわかりやすい。

sinthetadthetadphi.png

これに電荷の密度をかけることで微小部分にある電荷を計算できる。

この話の時は地球儀持ってくればよかったですね。

その微小部分と、電場を求めたい場所(図のP)との距離は、余弦定理を使って

R^2=z^2+r^2 -2zr \cos\theta

となる。これで距離も計算できるので、後は電場を計算し、またz方向だけを取った後で積分を行えばよい。

というわけで、積分のやり方については次回。

再来週(6/9)に中間テスト(45分間)をやります。

試験終了後は授業します。範囲はたぶん第1章になりますが、後日連絡します。

学生の感想・コメントから

計算たいへんだった。

という感想がまだまだあるけど、そろそろ慣れようね

積分のやり方が少しずつわかってきた。計算しててとても楽しい。

という声もある。そう、わかってくるとなかなか楽しいのだ積分は。

球殻の面積の取り方がわかりにくかった。

自分で図を書いてみましょう。

先生が生徒に質問をしようと近寄ってくるのが怖いです!!

怖くないよ〜〜(ちなみに大学生は生徒ではなく学生です)

直線であろうが平面であろうが、全部微小部分を考えていけばどれも似たようなkなじで考え方は変わらないんだな、と思った。

そう、全部基本は同じなのです。

「自然科学のための数学」で扱ったものが出てきたので、勉強していてよかったと思った。

勉強は次の勉強の役に立っていくものなのです。

今度は円盤を縦横に切断するやり方でやってみようと思った。

ちょっと計算面倒ですが、やってみてください(できます)。


何かコメントありましたら↓にどうぞ。

  • 趣味で電磁気学を勉強し始めたものです。自分が今悩んでたところが6回と7回目の部分でとてもわかりやすく書かれていてとてもありがたいです。 -- なごり? 2017-02-25 (土) 20:51:15
  • 趣味で電磁気学を勉強し始めたものです。自分が今悩んでたところが6回と7回目の部分でとてもわかりやすく書かれていてとてもありがたいです。 -- なごり? 2017-02-25 (土) 22:33:48
  • いいかんじ! -- もりやす? 2017-08-19 (土) 17:30:28


*1 zも含めて3次元円筒座標(r,\theta,z)を張ると考えた方がいいかもしれない。

添付ファイル: filekyutai.png 382件 [詳細] filesinthetadthetadphi.png 393件 [詳細] filezrcostheta.png 380件 [詳細] fileheimen1.png 391件 [詳細]

トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2017-08-19 (土) 17:30:28 (361d)