物理などの自然科学を探求していくとき、
を調べていかなくてはいけないことがよくある。この$\xcol{A}$から$\ycol{B}$への関係}($\xcol{A}\to \ycol{B}$)のことを「関数(function)」と呼ぶ。「数」に限らず「何かを入力(インプット)したら何かが出力(アウトプット)される」働きを持っていればそれは「function(関数)」と呼んでも良い。数学的な意味で「関数」と言うときは数(もしくは数で表現できる量)を相手にしていることが多いが、数学だからと言って「数」を扱っているとは限らない。
関数のインプットとアウトプットにあたる量を「変数(variable)」}と呼ぼう。まず最初に変化させるある量$\xcol{A}$は「独立変数(independent variable)」、それに応じて変化するある量$\ycol{B}$は「従属変数(dependent variable)」と呼ぶ。
互いに関係のある量を計測する実験を何度も行うことによってそれぞれの量の間にどのような法則があるかを求めていこうとすることが自然科学の始まりだ。計測するものは数であることが多いので、ある数$\to$また別のある数という対応関係(「関数」)を調べていくことが多くなる。
$\xcol{x}$と$\ycol{y}$に$\xcol{x}$を1つ決めれば$\ycol{y}$が1つ決まるという関係があるとき、「$\ycol{y}$は$\xcol{x}$の関数だ」と言う。関数の対応関係は式で表してもよいが、次のグラフのように表現してもよい。たとえばこの関数が$\ycol{y}=f\kakko{\xcol{x}}$という式で表現されるものであったならば、グラフの線の上では$\ycol{y}=f\kakko{\xcol{x}}$が成り立ち、それ以外の場所では成り立たない。
つまりグラフが表現している「線」は「$\ycol{y}=f\kakko{\xcol{x}}$が成り立つ点」の集合だ。多くの場合、これはある線になるが、関数が変な関数であれば、「線」になるとは限らない。線になるかどうかは、関数が連続性を持つかどうかによる。連続性があればある点の「隣」に点があるから、関数の式を満たす点の集合が「線」になる。実験などで測定値をグラフに「点」でプロットして、最後に「えいやっ」と線を引くが、それは考えている関数が連続であることを仮定(期待)しているからだ。なお、図でもそうだが逆の$\ycol{y}$を1つ決めれば$\xcol{x}$が1つ決まるの方は成立しなくてもよい。
状況により$\xcol{x}$はなんでもよいわけではなく、「定義域(domain of definition)」と呼ばれる範囲に入っていなくてはいけない。この範囲で関数が定義されているという意味で「定義域」と呼ぶ。定義域は考えている量(物理量だったり測定値だったり)がそもそもどういう量であるかということから決まる場合もあるし、数式の構造から決まる場合もある。たとえば{$\ycol{y}=\sqrt{\xcol{x}}$}という関数は(実数の範囲なら)$\xcol{x}\geq 0$でないと意味がないから、定義域は(もっとも広い場合でも)$\xcol{x}\geq0$である。
$\xcol{x}$が定義域の全体を変化する間に$\ycol{y}$の取り得る値の範囲を「値域(range of values)」と呼ぶ。たとえば上の例$\ycol{y}=\sqrt{\xcol{x}}$の場合、値域は$\ycol{y}\geq0$である。
ここで、いろんな関数の場合で「$x$を変えると$y$がどう変わるか」ということと、「パラメータ$a$を変化させると関数がどう変わるか」を実感して欲しい。
たとえば、$y=ax$で$a$を変えると傾きが変わる。$y=ax^2$で$a$を変えると曲がり具合が変わる。このようなパラメータと「線の形」の関係は、この後でも重要。
このページでは、$y=x^n$の形(冪乗)の関数のグラフを見よう。
などが出てきた。
このことから、変数$x$が1より小さい範囲では、$n$が大きい項は重要度が低い(計算に大きく寄与しない可能性が高い)ということになる。これはいろんな量を考える時、とても大事。
というのは、自然法則を考えるとき、我々は「中央の値」とその付近の小さなずれをまず考える。つまり$n=0,1,2$あたりをまず考えて自然法則を見出していく。ありがたいことに、自然法則は$n=2$ぐらいまででほとんど記述できている。後でわかるけど、これは実は微分が大事、ということを示している。
y=ax+b(a,bは定数)の形、すなわち1次の多項式の形の関数を「1次関数」と呼ぶ。ここで、bは0でも構わないが、a≠0である(でないと、1次式でなくなってしまう)。aを「傾き」、bを「切片(またはy切片)」と呼ぶ。1次関数のグラフは正比例同様「直線」となる。
bの意味がx=0のときのyであることは式を見てもわかる。一方aは増加率すなわち~xが1増えたとき、yがどれだけ増えるかという意味を持つ。この「1次の項の係数が増加率を表す」という点は後々重要になるだろう。
図では、aはまさに「線の傾き」を表現している。
y=ax2+bx+cの形、すなわち2次の多項式の形の関数を「2次関数」と呼ぶ。そのグラフは「放物線(parabola)」と呼ばれるこの線は物体を放り投げた時の軌跡なので「放物」と名付けられている。。このページでは、y=ax2+bx+cの形の関数(2次関数)のグラフを見よう。
これでわかるように$b,c$は放物線の位置を決めるパラメータ関数の独立変数とは別の「変化できる量」をパラメータ(媒介変数)と呼ぶ。であり、$b,c$を変えても形は変わらず、平行移動するだけである。一方、$a$が変化すると放物線の形が変わる。
青字は受講者からの声、赤字は前野よりの返答です。