今日の講義の内容

$\def\diff{\mathrm d}$

 今日の授業の説明は、だいたい、

のページに書いてあること。

 最後にネオジム磁石をハサミにくっつけておいてライターで温めるとポトンと落ちる、というところを示した。

 その磁石、冷やしたらまた磁石に戻りますか?
 だめです。強力な磁石にくっつけておいて(つまり磁化させておいて)、その状況からゆっくりと冷やすと磁石に戻ります。

 なお、今日強調したことは $$ \begin{array}{rl} \diff U=&T\diff S-p\diff V+\mu \diff N\\ \diff F=&-S\diff T-p\diff V+\mu \diff N\\ \diff H=&T\diff S+V\diff p+\mu \diff N\\ \diff G=&-S\diff T+V\diff p+\mu \diff N \end{array} $$ という4つの式の中にかなりの情報が入っている、ということ。

 たとえばこの中から${\partial U\over\partial S}=T$のような微分の関係が読み取れるし、「二階微分が交換する」ということからはMaxwellの関係式が出て来る。

 また、この関係式からは、$F=U-TS$が$F=U-{\partial U\over\partial S}S$のように(あるいは、$H=U+PV$が$H=U-{\partial U\over \partial V}V$のように)、ルジャンドル変換でつながることもわかる。

 ここまで来ると、$G$をさらに$\mu$でルジャンドル変換すればいいんでは?と思う人もいるかもしれない。

 ところがそれはできない。前に出したEulerの関係式 $$ F+pV=\mu N $$ から、実は$G=\mu N$である。つまり$G$は$\mu,N$に関してリニアな関数になってしまっている。ルジャンドル変換は凸な関数にしかできない。無理やりやったとすると、 $$ G-{\partial G\over \partial N}N=0 $$ となる。

 完全な熱力学関数は「凸であること」が重要(そうでない場合は相転移が起こったり、ルジャンドル変換ができなくなったりする)。

受講者の感想・コメント

受講者の感想・コメント

 青字は受講者からの声、赤字は前野よりの返答です。

 主なもの、代表的なもののみについて記し、回答しています。


相転移の復習はわかりやすかった。また、クラペイロンの式や$\diff U,\diff F,\diff H,\diff G$などはちゃんと覚えておくべきだと思った。
式自体もそうですが、それぞれの式がどんなふうにつながっているかを理解しておきましょう。

ルジャンドル!!
なんで叫んでいるのだろう。

最後にまとめた4つの式からは、たくさんのことがわかるんだなとわくわくしました。
自分でいろいろ試して、身につけておいてください。

オイラーはいろんなところで出てくるからいつの時代の人かわからなくなる。
同じような人にガウスがいますね。

来年も前野先生の熱力を受けないようにがんばります。
がんばってください。

氷の話に興味を持った。

最後の磁性体の話が面白かった。
磁性体は熱力学や統計力学(もちろん量子力学も)と密接に関係してます。

磁性研志望者が増えそう。
最後に磁性体の話をしたからかな? 少し素粒子の話もすればよかったかな(^_^;)。

熱力学って面白いなと思った。
それは嬉しい。

授業はとても楽しかったです。ありがとうございました。テスト頑張ります!
頑張って!

授業の内容