今日の講義の内容
まずCarnotの定理の復習をして、前回「計算したらこうなる」ですませていた理想気体のCarnotサイクルの計算をテキスト冊子(クリックしてダウンロード)の6.3.2節にしたがって行った。そのあと準静的でないサイクルはカルノーサイクルより効率が悪いという話(6.4節)をやるとわりと時間がかかったので、6.5節のClausiusは後にまわして第7章のエントロピーの定義に入った。断熱準静的操作では変化しないような物理量として($S$-$V$でCarnotサイクルのグラフを書くと長方形になるような座標$S$として)エントロピーを導入したが、それは$S={U-F\over T}$という形で定義したのち、$F$の$T$依存性をうまく決めてやればよい。
$F$は等温操作で定義したんだから、$T$は定数ではないのですか。
その通りで、5章で$F$を導入したときは$T$は変化させてませんでした。だからこそ今「$T$が変わると$F$がどう変わるか」を決める余地があるわけです。
今日は$F$の$T$依存性を決めるための微分方程式は、
断熱準静的操作を仮定して$S={U-F\over T}$を微分して0とおく。
$$
\mathrm d\left({U-F\over T}\right)={\mathrm dU-\mathrm dF\over T}+\left(-{1\over T^2}\right)\mathrm dT=0
$$
から$F$の微分形を求めていく。
という方法で出せるというところ(テキストの(7.21)から(7.24)を出すところまで)までで終わった(理想気体の場合の具体的計算は来週)。
受講者の感想・コメント
青字は受講者からの声、赤字は前野よりの返答です。
主なもの、代表的なもののみについて記し、回答しています。
試験まで一ヶ月なのでそろそろ勉強しよう。
そういう勉強をしてはいか〜〜〜ん。と、何度も君らには言っているのだがなぁ。物理の勉強は普段からの積み重ねがモノを言います。
後半の計算が難しかった(他に「忙しかった」という感想もあり)。
この程度の計算はへっちゃらになろうぜ。
化学でエントロピーがでてきたとき、よくわからなかったけど、$S$のことだったんですね。
ええ、今日定義したのがエントロピーです。
化学でもエントロピーをやっているけど今日の話とつながってこない。
今日の話でも、${Q\over T}$がエントロピーの変化になる、というあたりは化学でやっているエントロピーの定義に近いはず。
眼に見えないものでも順に量を定義していけば理解できてくるのはすごいと思う。
エントロピーという量を定義したことでいろんな現象が見えやすくなるところが、面白いところです。
なにかをきめるための計算は定義をフルに使っていくのが楽しい。
熱力学はいろんな変数の定義が絡み合っていて面白いですね。
最後の微分ができなかった〜〜(複数)。
微分ったって${U-F\over T}$程度なんだからささっとやろう。
エントロピーの語句自体は実験のテキストや物理学の本で見たけど何かち球場に存在する変なエネルギーみたいなものと思っていたけど、$U$と$F$と$T$で定義できるとわかり、ほっとしました。
エネルギーの定義が2つあることがここで効いてます。
エントロ○○の伏せ字の部分が何なのか知りたい。
「ピー」です。英語で「おしっこ」の意味なので伏せ字になってます。
そろそろワールドカップが開催されますが、注目の国、または選手はいますか?
ごめん。サッカーは全く見てないので何もわかりません(サッカーの話でいいのかどうかすら自信がない)。