今日の講義の内容

 テキスト第3章(PDF:クリックしてダウンロード)に入りました。3.1.3のEulerの関係式まで言ったところで、

を使って「ピストンをすばやく動かしたときに気体のする仕事が$PV=NRT$から予想されるよりも小さくなる」ということについて説明。さらに、

も使って平衡状態ではない場合を経由した場合にピストンにされる仕事を動く図で実感してもらった。

 そのあとテキストに戻って平衡状態と準静的操作、および熱力学の基本的要請のいくつかについて話した。

 次回はこのような操作を行ったときの仕事によって増減する量として定義されるエネルギーについて、二通りのエネルギーがあるというところから。

受講者の感想・コメント

受講者の感想・コメント

 青字は受講者からの声、赤字は前野よりの返答です。

 主なもの、代表的なもののみについて記し、回答しています。


$\tilde f=f-x{\partial f\over\partial x}$と似たものの式$x{\partial f\over\partial x}+y{\partial f\over\partial y}=f$で示量変数か示強変数が分かることがわかりました。
似ていると言えば似ているけど、これだと$\tilde f=0$になりそうな。あと、Eulerの関係式を見ても示量変数か示強変数かはわかりません。

Eulerの関係式が次数の足算と見れることは気づけなかったので、見えたとき、面白かった。

ピストンの話、空気がついてこないというのが少しどういう状態かわかりにくかった。
人間の手でやっていると空気はついてきているように思えますから、もっと速い感じで考えてみてください。

沖縄もついに梅雨に入ったそうです。スコールではなく準静的な雨が降って欲しいものである。
準静的ってことはゆっくりなので、梅雨がなかなか終わらないことに。

$f(x+\Delta x)=f(x)+{df\over dx}\Delta x$という式を久しぶりに見て自然科学をやっていた一年のときからだいぶ年を取ったなと実感した。
う〜ん、「久しぶり」って感覚じゃなくて「おなじみ」と思って欲しいところなんだが。

今まで$PV=NRT$で完璧だと思っていたけど、アニメーションを見るとたしかにTやPはすぐには決まらないなぁと思った。平衡状態になるまで待つことが必要。
$PV=NRT$でなんとかなるのはたくさんある状態のうち「一部」だけなのです。

高校でも「ゆっくり引っ張る」ってのがあったが、あれが準静的だったんだな。
ですです。

自分も物理を勉強しようとするとあらゆる物事が邪魔をしてきます。物理法則の普遍性はさすがです。
さすがですね(^_^;)。

前野先生はGWをどう過ごしてましたか?
ほとんどの時間は熱力学のテキスト作ってましたね。

要請というのは「仮定」的なものですか?
「仮定」という意味あいもあります。「とりあえずこれが成り立つってことにしておいて次行こう」的な。

断熱状態ではいつか必ず系は最終的にある環境に落ち着くという要請は、言い換えればそのような系のみを熱力学という一分野(理論体系)では扱い、それが成り立たないような系は取り扱わないという理論体系の限界(境界)を宣言していると読み取ることもできると思う。熱力学に要請が多いのは、扱わない部分が多い学問であるからと言えるだろう。そのような、あえて微視的な自然の姿を見ないことによって美しい体系が作り上げられているのはとても興味深いことだと思う。
使える場所に制限があるように見えて、実は応用範囲が広い(結構使える)のが熱力学のすごいところです。

みんなのボケコメントについて、笑ってますか?
笑っているときもあるし、あきれているときもある。

授業の内容