相対論講義録2006年度第2回

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第2章 座標変換と運動方程式

 第1章の前半では、力学の法則が相対的であること、つまり絶対空間が存在しない(少なくとも、感知できない)ということを説明した。この章では、そのこ とを数式を使って考えていく。そのために、座標系の変換ということについて勉強する。
 物理を記述するにあたって、座標系は大事である。というより座標系を置かないと何も始まらない。相対性、すなわち「見る立場が違っても物理法則は変わら ない」ということは数学的言葉を使えば「座標系を変換しても物理法則は変わらない」と表現できる。よって相対論を理解するには、座標系を変換する(ある座 標系から別の座標系に移る)ということの意味を理解することが必要である。この章では相対論以前のニュートン力学の範疇において、座標変換と力学の法則の 関係を整理しておくことにする。

2.1  座標系と次元

 座標系というのは、物体の位置を指定するための道具である。たとえば将棋盤の駒を「7六歩」などと表現するが、これは左から7番目、下から6番目のます に歩を進めるという意味で、「7」と「六」という二つの数字で場所を指定している。力学の問題のほとんどは「ある物体がどこにいるかを予言する」というこ となので、まずは「どこにいるか」を数学的に表現する方法が必要なのである。
将棋盤の例なら二個の数字を使って場所を表したが、物理の一般の問題ではもっと多くの数字を使って物体の位置を表現することが必要になる。物体の位置を指 定するのにどれだけの数を指定しなくてはいけないかを「次元」という。将棋の駒ならば二つの数字でOKなので、2次元である。一般に空間の中にいる物体の 位置を指定するには3つの数字が必要であり、これを「3次元の空間」のように表す。
 相対論では、4次元、すなわち4つの座標を 使って運動を記述するということが大事になる。「次元」という言葉はずいぶんいろんな意味に使われていて9、一般社会においては「4次元」という言葉は特に謎めいたイメージを持たされて いる。しかしここで言う「次元」というのは「いくつの数を指定すれば系の状態が決まるか」という意味であって、それが「4」であるということは、別に不思 議なことではない。例えば待ち合わせをする時、「じゃあ、生協食堂前で会おう」では待ち合わせはできない。かならず「何時に」ということも決めるはずであ る。「生協食堂前」を指定するのに数字を使うとしたら、3つの数字が必要である10。これに時刻を足して4つの数字を指定して始めて待ち合わせが成立する。つま りこの場合必要な数字は4つ。これを「4次元」と言う11
 物体の位置だけを問うのなら、3次元でいい。ニュートン力学の世界では、3次元空間と1次元の時間は完全に切り放されて、別個に存在している。相対論的 世界では、空間と時間の間に少し関係が生じてくる。そのため、相対論の話をする時には4次元的記述が好まれる(と、今言ってもわからないだろうけどれど、 授業が進むにつれてわかってくるはずである)。

 3次元でだって、空間軸のxとyは独立でしょう。時間と空間に関係が出てくるって、独立じゃ なくなるんですか??
 いえ、相対論でも独立なのは一緒です。たとえば回転という座標変換をする と、新しいx座標は、元のx座標とy座標の足し算に変化したりしますね。それと同様に、新しい時間は古い時間と古い空間の足し算で表現されたりします。そ ういう意味で、関係が生じるんです。
 以上のように、4次元と言っても別に怖いものでもなんでもなく、物体の位置と時間を指定するには4つの座標が必要だ、と言っているだけのことである。我 々の住んでいるこの宇宙は3次元空間+1次元の時間で、「4次元時空」と呼ばれる。時間だけは多少違うので、「3+1次元時空」という呼び方をする人もい る12。だから、「4次元」と言われ ただけで不必要に「難しい話が始まる」と緊張する必要はない13
座標の取り方はいろいろあるが、ここでは一番簡単な直交座標、すなわち互いに垂直な空間軸x,y,zをとることにしよう。これに時間tをあわせて、座標は 4つ(x,y,z,t)である。ある一つの物体の運動は、この「4次元時空」の中の線で表されることになる。図の「ある時刻のある粒子の位置」を表すには 4つの数字が必要だということである(図ではz座標を省略している)。なお、「ある時刻の宇宙」はこの4次元時空のうち、t=(ある一定値)に限った部分 ということになる。ほんとは3次元分の広がりがあるが、図ではz軸が書かれていない分、2次元の面のように描かれている。この面を「面のようだが3次元分 ある」ということで「超平面」(hyper surface)と呼ぶ。

2.2  1次元空間の座標変換

 簡単のため、まず空間座標はxだけ考えて、y,zは無視して考えることにする。つまり1次元空間、時間を合わせて2次元(1+1次元)時空である。1次 元での空間座標はx一つで、どこかに原点を選び、あとは軸の向き(1次元なので左か右か二つに一つ)を選べば、原点から軸の正の方向に何メートル行った場 所か、ということで位置を指定できる(ここでは「メートル」と書いたが、もちろん「フィート」でも「尺」でも「オングストローム」でも「光年」でも支障は ない)。
まず簡単な座標変換として、原点の移動を考えよう。新しい座標系x′系の原点が古い座標系x系で表してx=bという場所にあるとする。座標系の向きと目盛 りの幅は同じであるとすると、この二つの座標系はx′=x−bという関係で結び付いていることになる。この場合、二つの座標原点は互いに運動していない。 x′座標系の原点はx座標系の原点よりも右(つまり、正の方向)にあるのだが、式の上ではx′=x−bと引き算される形になっている。勘違いしてx′=x +bとやってしまうことが多いので注意しよう。「x′=0がx=bに対応する」ということに注目して、そうなるように式を作るならばx′=x−bでなくて はいけないことが納得できるだろう。
次に座標の原点自体が刻一刻と等速度vで移動している場合を考える。この場合、b=vtと考えて、
x′=x−vt
(2.1)
という変換則に従っている。この座標系x′は、いわば速度vで走る電車の内部の座標系である。電車内でみると静止しているx′=0という点は、外からみる と、x=vtで表される。つまり、等速運動して移動している点に見える。
ここであげた式ではt=0でxとx′の原点が一致しているとしたが、もちろん一般には一致する必要はなく、 x′=x−vt−b でよい。この形でもx′座標系の原点がx系でみると等速運動しているという点は同じである。
この時、x系とx′系で、時間は変化しないと考えられるので、
t′=t
(2.2)
である。あたりまえのことのようであるが、これは重要な(後で変更をせまられることになる)式である。このような互いから見て、相手の座標原点が等速で運 動しているような座標系の間の座標変換をガリレイ変換と呼ぶ。

2.3  速度、加速度のガリレイ変換と運動方程式の不変性

さて、「電車内でも外部でも同じ物理法則が成立する」ということを、今考えたガリレイ変換と力学の法則を使って確かめよう。


ガリレイ変換の一般式x′=x−vt−bという変換式を微分していくと、

x′ =x−vt−b

dx′
dt
= dx
dt
−v

d2x′
dt2
= d2x
dt2


(2.3)
となり、加速度はどちらの座標系でも同じ。

ニュートンの運動方程式は(1次元であれば) m [(d2 x)/(dt2)] = F と書ける。 左の囲みに書いたように、加速度はガリレイ変換で変化しないので、運動方程式の形はx系でもx′系でも変化しない。 つまり、互いに等速運動している二つの観測者は、どちらも同じ運動方程式を使って運動を記述できることになる。運動方程式に加速度という「速度の変化」だ けがあらわれていることから、当然の結果である。
二つの座標系で、同じ運動を記述してみる。x系とx′系は原点が一致しているものとする(上のb=0)。今x系で時刻t=0に原点に静止していた質量mの 物体に、力Fを∆tの間加え続けたとする。x系およびx′系で成立する運動方程式は
F = m d2 x′(t)
dt2
  または    F = m d2 x(t)
dt2

(2.4)
と書ける。 これをtで2回積分すると、


d2 x(t)
dt2
=

F
m


d x(t)
dt
=

F
m
t+C1
x(t)=

1
2

F
m
t2 +C1t +C2

(2.5)
となる(C1,C2は積分定数)。
 x系で考えるならば、x(t)の初期値(平たくいえばx(0))は0、初速度([dx(0)/dt])も0であるから、C1,C2は ともに零となる。
x′系での運動を考えるには、二つの方法がある。今求めた解をガリレイ変換するという方法と、x′系での初期値を用いてC1,C2の 計算をやり直す方法である。ガリレイ変換ならば、
x′(t)=x(t)−vt = 1
2

F
m
t2 −vt
(2.6)
と公式どおりに求まる。x′系での初期値を考えるならば、x系で静止している、ということはx′系でみるとvの速さでバックしているということになるの で、x′(0)=0,[dx′(0)/dt]=−v となって、C1=−v,C2=0となる。結果は、上の 式と同じである。
 
 二つの結果を、x系とx′系でグラフにしてみたものが上の二つの図である。x系で見ると「静止した状態の物体が速度を少しずつ増しながら離れていった」 と見える運動であるが、x′系でみると、「最初左へ走っていた物体がだんだん遅くなり、やがて止まって今度は右向きに走りだし、自分の前を通りすぎてどん どん右へと速度を増しながら離れていった」ということになる。等速運動している自転車を、後から発車した自動車があっという間に追い抜いていった、という 状況である。
 上のグラフで、t=t′なのにt軸とt′軸が同じ軸でないことをおかしく思う人もいるかもしれないが、t軸というのはx=0で表される線であり、t′軸 というのはx′=0 で表される線であることに注意せよ。つまりt軸とt′軸が同じ方向を向かないのはxとx′にずれがあるからなのである。この二つのグラフは、グラフを水平 方向(x方向)に、高さ(t座標)に比例した距離だけ横にずらしていくことによって互いに移り変わる。つまり、3+1次元空間のうち、3の部分(空間ある いは超平面)を時間に応じて動かしていくという変換を行っていることになる。



[問い2-1] x′座標系で見て速度V′で動いている物体に関してはx′= V′t′+b(bは定数)が成立す る。これとガリレイ変換を使って、x座標系でこの物体がどのような速度を持つかを計算せよ。



 前の章で強調した、「絶対静止しているかどうかは判定できない」というのは、今示したように、互いにガリレイ変換で移ることができる座標系であれば、ど こでも同じ法則が成り立っているからである。物理法則(この場合ニュートンの運動方程式)にあらわれるのは加速度であり、上のグラフでいえば、物体の運動 を表す線の傾きがどの程度変化しているか、つまりは線の曲がり具合いである。ガリレイ変換は線の傾き(つまりは速度)を一定値だけ変えるが、その時間的変 化量(曲がり具合い)を変えない。そのため、物理法則は変わらない。
 今あなたが電車外にいて、「静止しているのは私である」という仮定のもとに運動方程式を解いて、ある物体の運動を求めたとする。しかし電車内にいる誰か 別の人が「静止しているのは俺の方だ」と言って同様のことを行ったとしても、結果は同じになる。ではあなたとこの人の、どっちが正しいのか。もちろん、判 定不可能である。
 ガリレイ変換の物理的意味は、一つの物理現象を見る時、観測者が運動しながら見るとどう見え方が変るか、ということにある。ガリレオ・ガリレイの時代と 言えば、天動説から地動説への変換の真っ最中であった。つまり、「地球が静止していると考えて天体の運動を考える」立場と「太陽が静止していると考えて天 体の運動を考える」立場のどちらが正しいのかが論争の焦点となっていた。ガリレイ変換は等速直線運動どうしの変換であるから太陽と地球(円運動している) には直接当てはまらないが、地球の運動方向の変化が十分小さくなるほど短い時間で近似して考えれば「地球が静止している」座標系と「地球が運動している」 座標系の変換はガリレイ変換で表せる。

2.4  「慣性系」の定義

以上でわかるように、ニュートンの運動方程式はガリレイ変換によって不変である。しかし例えば座標系原点を等加速度運動させたりすると、もはや新しい座標 系では運動方程式が成立しなくなる。
そこで、ニュートンの運動方程式が成立する座標系を特別に「慣性系」と呼ぶ。ニュートンの運動方程式は上の座標変換で不変である。つまり、上の座標変換 は、慣性系を別の慣性系に移すような座標変換である、ということが言える。
たとえば地球表面に固定した座標系は厳密には慣性系ではない。地球の回転によって、コリオリ力および遠心力というみかけの力が働く。また、慣性系xに対し て加速度運動しているような座標系
x′=x − 1
2
at2
(2.7)
を導入したとすると、このx′系での運動方程式は
m
d2 x′
dt2
+a
=F
(2.8)
あるいは
m d2 x′
dt2
= F−ma
(2.9)
となってしまう。つまりx′系は慣性系ではなく、運動方程式の力の部分に余分な項−maがつく。この項は「慣性力」と呼ばれる。加速している物体(発進す る車など)の上の観測者が加速と逆向きに力が働いているように感じるのが、この慣性力のもっとも単純な例である。このような加速度のある座標系は特殊相対 論ではあまり扱われないが、一般相対論では非常に重要になる。



[問い2-2] 今、遊園地にあるフリーフォールの中での運動を考える。外か ら見ると、物体には重力が働くの で、運動方程式は
m d2 y
dt2
=−mg
(2.10)
である(yは上向きを正としてとった鉛直方向の座標)。フリーフォールも加速度gで自由落下運動しているとして、フリーフォールが静止しているような座標 系を設定し、その座標系で立てた運動方程式には重力の影響がないことを示せ。



とりあえず慣性系でない座標系のことは横に置いておくとして、
ガリレイ変換によって移り変わるどの慣性系においても、同じ運動の法則が成立する。
という原理を「ガリレイの相対性原理」と呼ぶ。この法則の「運動の法則」の部分を電磁気学を含めた「物理法則」に書き換えたいというのが相 対論の目標である。後で詳しく述べるが、その目標達成のために「ガリレイ変換」の部分も「ローレンツ変換」に書き換えられることになる。
ローレンツ変換によって移り変わるどの慣性系においても、同じ物理法則が成立する。
というのが「特殊相対性原理」である14

以下 の補足は飛ばします。

【補足】この部分は授業では話さない可能性もあるが、その場合は読んでおいてください。

2.5  絶対空間に対するマッハの批判

ニュートンはニュートン力学を構築する時、「絶対空間」すなわち物体が静止していることの基準となる空間を仮定した。つまり、「静止している」ということ が定義できるとしたのである。マッハはこれを批判し、「物体が静止しているかどうかを判定することはできない」と主張した。実際ニュートンの運動方程式は ガリレイ変換で不変なのだから(動きながら見ても物理法則は変らないのだから)運動を見ているだけではその物体が静止しているかどうかを判定することはで きない。観測者自身すら、止まっているのかどうかが判定できないからである。
この「動いているかどうか判定できない」というのは等速直線運動の場合に限る。たとえば観測者が回転運動をしていれば、遠心力を感じるので、遠心力がある か否かを実験することで「自分は回転しているのか」を判定することができる(数式上で言えば、先の計算のθが時間の関数であれば、運動方程式は不変ではな い)。つまり、「静止系か否か」は実験で判断できないが「慣性系か否か」は判断できる、ということになる。
しかしマッハはこの考え方も批判していて「自分が静止していて宇宙全体が回転していたとしても遠心力が働くかもしれない」と述べている。たとえばバケツを ぐるぐる回すと中の水面の中央がくぼむ。これは「バケツの回転による遠心力で水が外へ追いやられるから」と説明されるのが普通である。そして「バケツが回 転している」と判断できることは絶対空間がある証拠であると考えられていた(これを「ニュートンのバケツ」と呼ぶ)。しかし、バケツが静止していて宇宙全 体が回転していたとしても同じことが起こるかもしれない、「そんなことは起こらない」という根拠はどこにもないとマッハは言うのである。今のところ (?)、誰も宇宙全体を回転させるような実験はできないので、この真偽はもちろんわからない。マッハは「各々の物体がどのように運動するかは、まわりにあ る物体全体との相互作用によって決まるべきだ」という思想(マッハ原理と呼ばれる。アインシュタインもこの原理の信奉者だった)を持っていたので、安易に 絶対空間を導入することに批判的だったのである。
マッハの批判から学ぶべきことは「観測されていないことを固定観念で「決まっている」と思い込んではいけない」ということである15。ニュートンは実際には観測すること ができない「絶対空間」をあると仮定してニュートン力学を作った(実際にはこの仮定は必要ではない)。「絶対空間」が存在することは人間の感覚にはなんと なく、合う。だが、感覚を信用することは危険である。「物体に働く力は、物体の速度に比例する」という、人間の感覚に合うアリストテレスの理論が長い間信 じられてきた(が間違っている)ということを思い出さなくてはいけない。

【補足終わり】



Footnotes:

9「その式、左辺と右 辺で次元が違うじゃないか」「3次元空間で考えましょう」「そんな次元の低い話はしてないんだよ!」全部、意味が違うのに「次元」という同じ言葉が使われ ている。
10 例えば、「北緯何度、東経何度、標高何メートル」。あるいは「ここから東に何メートル、南に何メートル、下に何メートル」。
11「空中に浮いて 待ったり、地面に潜って待つことなどありえないのだから高さや標高は省略してよい」と考えると次元は一つ減って3次元になる。ただしこの場合1階と2階で 互いに待ちぼうけを食わされる可能性がある。
12この話をすると必 ず「ドラえもんの4次元ポケットはどうなっているのですか」という質問が出る。そんなことは藤子不二雄先生に聞いてほしい。おそらく、「4次元ポケット」 の4次元は、空間だけで4次元なのだろうとは思うが。
13たまにいるのだ、 「4次元ってのはものすごいことなんだ」と思い込んでいる人が。そういう人はむしろ、この話をきいてがっかりすることになる。
14さらに「一般座標 変換によって移り変わるすべての座標系のおいてすべての物理法則が成立する」となると「一般相対性原理」。これを実現するのが一般相対論。
15このあたりの 「心」は量子力学にもつながるかもしれない。ただし、マッハ自身は量子力学どころか、分子論に対しても批判的であった。つまりは全てを疑ってかかる人だっ たのだろう。


学生の感想・コメントから

 ガリレイ変換がわかった、と思ったら最後に間違っていると言われてがっくり来た(多数)
 心配しなくても大丈夫です。間違っているといっても、状況によっては使え ない場合があることが判明した、ということで、たいていの状況では大丈夫です。後で出てくるローレンツ変換(こっちが正しい)も、近似するとガリレイ変換 に一致するのです。
 物理で何かが間違っているということで新しい理論がとってかわることはよ くありますが、そういうことがあったからといってこれまで使っていたものが全部ダメになるということはあまりありません。それまで使われていたということ はそれなりに有用であるからこそ使われていたのです。ガリレイ変換も、近似としては十分使える考え方です。

 1次元でも いっぱいいっぱいなのに、この後さらに次元が増えると、理解できるのかとおそろしく感じます。
 2次元以上の計算では、テンソルだの行列だの、新しい概念が出てきます が、これらは、物理を理解しやすくするための道具です。おそれず立ち向かってください。

 2年の時にコ リオリの力を座標変換で出すのに挫折したことを思い出しました。今ならできるかな?
 チャレンジしてみましょう!

 「慣性力が働 かない座標系が慣性系」なんて、なんで混乱する名前の付け方になっているんですか?
 「慣性の法則」が成立する座標系が「慣性系」。物体の慣性が原因で起こる 力が「慣性力」。それぞれ別の意味合いで名付けられているのです。

 非慣性系では 自分が非慣性系にいるとわかっていないといけないようだ。
 わかっていないと式を作る時に失敗するでしょうね。

 重力が働いているところは非慣性系ですか?
 重力場と非慣性系を同一だとするのを「等価原理」と言います。これを元に して一般相対論が作られました。

 3次元と4次 元の違いは時間だけなんですね。
 そうです。

 映画「CUBE」の内容は相対性理論と関係しているのですか?
 見ましたけど、あまり関係してなかったと思います。友人に聞いたところで は、「CUBE2」の方に時間の流れがおかしくなるような話が入っているそうですね。でもどっちにしろ、相対論的に正しい話ではないでしょう。あくまで映 画のお話です。

 時間と空間が 混ざるというのは時間を空間で表現できるということでしょうか?
 少し先でやるローレンツ変換でやりますが、ある座標系での時間軸は、別の 座標系での時間軸と空間軸の混合になります。
 空間だけで時間はできません。

 ガリレイ変換 のどこが間違っているのかわからない(複数)
 今の段階ではわからないと思います。力学の範囲ではOKなのですが、電磁 気や光の話になると実験と合わなくなってしまうのです。

 同じ加速度で運動している二つの系の場合、運動の法則はどうなりますか?
 両方とも同じ慣性力が式に入ってきます。だから、この二つでは同じ物理法 則が成立します。


 なお、来週(5/2)は休講です。次回は5/9となります。


File translated from TEX by TTHgold, version 3.63.
On 25 Apr 2006, 18:25.