★2008年6月26日(木) 14:40−15:40
場 所: 理学部313教室
講演者: 和田裕文 先生
(九州大学理学研究院物理学部門)
講演題名:「一次転移を示す磁性体の巨大磁気熱量効果」
講演概要:
磁性体のエントロピーや温度が磁場によって変化する性質を磁気熱量 効果という.磁 気冷凍は磁気熱量効果を用いた冷凍法で,近 年システムの進歩によって,実用化への 見通しが得られるよ うになってきた.このため,大きな磁気熱量効果を示す物質の 開発が世界中で精力的に行われている.われわれはこれまで 一次転移を示す物質が巨大 磁気熱量効果を示すことを報告し てきた.この講演では,さまざまな一次転移物質に ついて, 圧力下も含めた磁気熱量効果を紹介する.
★2008年5月29日(木) 14:40−15:40
場 所: 理学部313教室
講演者: 稲岡 毅 先生
(琉球大学 理学部 物質地球科学科)
講演題名:「半導体吸着制御表面の素励起」
講演概要:
吸着の被覆度の増加とともに、不純物半導体表面にキャリア涸渇層 あるいは蓄積層が形成されていく例、 すなわち吸着により表面空間電荷層が制御できる例がいくつか知ら れている。このような吸着による著 しい表面電子状態の変化は、表面励起に如実に反映される。n型 GaAs、n型InSbのような化合物半導体で は、しばしばキャリア系の表面プラズモンと表面極性フォノンが結 合する。このような表面素励起は、 高分解能電子エネルギー損失分光(HREELS)により測定される。 キャリア系の表面プラズモンと表面極性フォノンが結合して生ずる 2つの結合モードA、Bと、キャリア 系に由来する遮蔽電荷を伴う表面極性フォノンモードCの3つが存 在することが分かる。本講演では、 「涸渇層」形成過程における各表面励起モードのエネルギー分散、 エネルギー損失強度、空間構造、 プラズモンとフォノンの結合形態の変化を追跡する。モードAある いはBでは、初期の上向き分散曲線 が低エネルギー側にシフトすると同時に、下にトツの反り形の分散 曲線に変わる。誘起電荷密度分布の 等高線から、涸渇層形成過程におけるモードAあるいはBの空間構 造の著しい変化が分かる。モードC では、フォノンが誘起電荷を引きずりながら伝播する様相と遮蔽電 荷密度分布の変化が明らかになる。 本解析は、HREELSのスペクトルに現れる損失ピークのシフト や強度変化を明瞭に説明する。