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磁気的秩序の不純物による破壊

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二次元反強磁性ハイゼンベルク模型で表される系の基底状態は反強磁性長距離秩序をもつ。この状態をサイト希釈すると、スタッガード磁化の値は減少し、パーコレーションの閾値と一致した臨界濃度でゼロとなる。量子モンテカルロ法 による解析からこの臨界濃度の値は系の磁性を担うスピンの大きさに因らないことが分かっている。また、臨界濃度近傍における相関長の臨界指数はパーコレーション理論の値と一致する。一方、スタッガード磁化の臨界指数はスピンの大きさに依存し、非ユニバーサルな相転移が実現している。この結果は、サイト希釈によりパーコレーション理論に基づくクラスターが出現するが、その個々のクラスター上で量子ゆらぎのためにべき的に減衰する相関が存在することを示している。


上述の理論の結果と実験結果は、臨界濃度の値に関しては一致している。上図は La2CuO4 などの反強磁性長距離秩序相にある擬二次元反強磁性体に Zn や Mg などの非磁性不純物をドープしたときのネール温度の不純物濃度依存性を表している。この結果は、絶対零度では正方格子のパーコレーションの閾値で反強磁性秩序がなくなることを示している。

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