気になったのは、やはりまだ「速度」と「力」の向きを一緒にしてしまっている考え方が残っていること。
さらに「運動の向き」と「速度の向き」が別のものだと思っていた、という人もいました。
このあたりの報告の後、念の為、もう一つの質問。
正解は
で、だいたいの人は正解であったが、ところどころに加速度が速度と同じ方向を向いていたり、余計な力が書いてあるものがあった。
間違いの例は「遠心力」を書いているもの。『遠心力』は回転する観測者からみるとあると思われる、見かけの力であるから、遠心力を感じる立場であればこの惑星の上に観測者がいることになり、その観測者から見たら惑星の速度も加速度も0である(つまり、速度も加速度も0とする立場ならば遠心力があって正しい)。
ここでもう一度、運動の向き、速度の向きの意味をわかってもらうために、しばらくandroidタブレットによる運動のシミュレーションで遊んでもらいました。
使ったアプリは、ここにアップロードしてある「落体の運動」と「惑星の運動のシミュレーション」です。androidのスマホなどを持っている人は試してみてください。
せっかくなので少し発展問題。
これもタブレットでアニメーションで遊びながら考えてもらった。
のように考えると、図の上側に惑星がいるときは加速度と速度が(おおむね)逆向きなので遅くなる。図の下側にいるときは加速度と速度が(おおむね)同じ向きなので速くなる。ということが、「図から」直観的にイメージできるようであってほしい。
速度と加速度の関係は、下の図のようなものである。
すなわち、ある時刻の速度$\vec v(t)$と、それの微小時間だけ後の速度$\vec v(t+\mathrm dt)$の差が$\vec a(t)\mathrm dt$となる($\vec v$と$\vec a$が同じ方向を向いていると$\vec v$は長くなる)。
円運動しているときは、ちょうど$\vec v$と$\vec a$が垂直である。
位置ベクトルと速度の関係は、下の図のようなものである。
こうしてみると、$\vec x\to \vec v$の関係と$\vec v\to \vec a$の関係は同じであって、式で書くならば${\mathrm d\over\mathrm dt}\vec x=\vec v$および${\mathrm d\over\mathrm dt}\vec v=\vec a$である。
定義にもどって考えれば速度や加速度は微分を使って表現できる。
たとえば、 $$ \begin{array}{rl} x(t)=&x_0+v_0t+{1\over2}at^2\\ v(t)=&v_0+at\\ a(t)=&a \end{array} $$ のような計算は、順次微分(逆にいくなら積分)していくことで得られる。高校物理では微分を使わないようにしてこの関係を表現しているが、微分というかたちでの繋がりを意識していくことは重要。
単振動でも、 $$ \begin{array}{rl} x(t)=&A\sin\omega t\\ v(t)=&A\omega \cos\omega t\\ a(t)=&-A\omega^2\sin\omega t\\ \end{array} $$ のような式も、微分のおかげでつながっていく。
微分という計算、上で行ったような図示、両方の考え方で「位置ベクトル→速度→加速度」の関係をつかんで欲しい。計算式と図と、両方で概念をつかんでいくべきである。
青字は受講者からの声、赤字は前野よりの返答です。
主なもの、代表的なもののみについて記し、回答しています。