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(5.4) |
[問い5-1] 図の角度に関して、屈折の法則から、
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(5.5) |
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(5.6) |
(「エッチバー」と読む)=[h/2π]と書くことにする。
よって、古典力学でのハミルトンの原理(「作用の値が極値をとるべし」)に対応するものは、波動力学では、「波の位相が極値をとるべ
し」である。
なぜ波の位相が極値を取らなくてはいけないのであろう。今、ある時空点(x1,t1)から(x2,t2)
へ、いろんな経路をたどって波が到達したとする。(x2,t2)において観測される波は、そのいろんな経路
をたどった波の和である。経路によって、波はいろんな位相を取る。そしてそのいろんな位相の波の足し算が行われることになるが、この時足される波それぞれ
の位相差が大きすぎると、波が互いに消しあってしまう。位相が極値を取るというのが重要なのではなく、極値を取るところでは変化が小さい、ということが重
要なのである。変化が小さいところの足し算は、位相が消し合うことなく残る。それに対して位相が大きく変化しているところの足し算は、足し合わされて消え
てしまうのである。

この波の重なる様子を具体的に考えるのは難しいので、だいたいのところどういう状況なのかを理解するために、簡単な積分の場合で変化のゆるやかな部分だ
けが生き残る例を示しておく。右のグラフは(x2−2x+2)cos100x2のグラフである。この関数
は、x=0付近以外では非常に激しく 振動している(位相が100x2という式であることを考えればわかる)。この積分を行うと、
ほとんどx=0付近だけの積分と同じになる。つまり、x=0
付近以外の寄与は、結果にまったくといっていいほど影響されないのである。これと同様のことが、波動力学における波の重ね合わせでも起きている。ゆえに位
相が極値となるような経路(古典力学的にはEuler-Lagrange方程式の解となっているような経路)が主要な波の経路であると考えてよい。古典力
学と波動力学はこのようにつながる。
ド・ブロイが物質波というものを考えた背景には光学がある。光学においても幾何光学という立場と、波動光学という立場がある。幾何光学では「光線」を考
え、光線がどのように進んでいくかを計算する。一方波動光学では「波」を考え、空間の各点各点に発生する波の重ね合わせによって波の運動を計算する。この
二つのどちらを使っても光がどのように進行するかを考えることができる。
波動(光など)がどのように進行するかは、フェルマーの原理で考える(幾何光学)こともできるし、波の重ね合わせを使って考える(波動光学)こともでき
る。考えているスケールに比べて波長が短い場合(日常現象における可視光の場合など)は幾何光学を使う方が簡単である。逆に考えているスケールに比べ波長
がcomparable2であるか大
きい場合は、波動光学を使わねばならない。
力学でも粒子の進行を、最小作用の原理を使って考えることができる。最小作用の原理に対応するのがフェルマーの原理すなわち幾何光学である。では波動光
学に対応するものは何か???-ド・ブロイはこのような考え方から物質の波動説に到達し、自身のこの考え方を「波動力学」と呼んだ。
波長が短い場合 波長が長い場合 光学の世界 幾何光学
(フェルマーの原理)
波動光学 力学の世界 古典力学
(最小作用の原理)
波動力学