

]である。
x=x0からx=xNま
ででの波動関数の減衰を考えると、
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(5.1) |
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(5.2) |
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(5.3) |
]という(日常の生活レベルにおいては)大きな数字が来ているおかげで、この減衰は非常に速い。
たとえば、E,m,Vやxの積分域がオーダー1の量
(1キログラムとか1ジュールとか1メートル)だったとすると、expの肩には
の逆数である1033ぐらいの負の数が
載っていることになる。だいたい、e−1033ぐらいである。この確率はものすごく小さい。
0.0000000…と0を並べて書いていくと、1032個以上の0が並んだ後でやっと0でない数字が出てくるほどになる2。
なお、今行った計算は近似計算であり、厳密解ではな
い。一般にeF(x)のような関数を二階微分すると、
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(5.4) |
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]∫x0x√[2m(V(x′)−E)]dx′を
代入すると、
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(5.8) |
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(5.10) |
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(5.11) |


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(6.1) |
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(6.10) |
2
k2)/2m]=E, [(
2
κ2)/2m] = V0−E であるから、
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(6.11) |
結局我々が求めるべきはκ = k tan kdとk2+κ2 = [(2mV0)/
2)]
という連立方程式の解である。質量mやポテンシャルの深さV0が与えられれば、この式からk,κが計算でき、つまりは許されるエネ
ルギーEが決まることになる。
とはいえ、この連立方程式は解析的に解を求められない(式変形で答えは出せない)ので、グラフか数値計算に頼ることになる。左の図はκ = k tan
kdとk2+κ2=[(√[(2mV0)])/
]
の両方をグラフに書き込んだもの(もちろん、k2+κ2=[(√[(2mV0)])/
]
が円の方)で、少しスケールを変えて横軸はkd、縦軸はκdになっている。タンジェントの性質により、kd=mπ(mは整数)ではκ =
0となる。グラフではκ < 0の部分も書いているが、実際にはもちろんκ > 0でなくてはならない。
図に二つの円が書いてあるが、これはV0がいろんな値をとっている場合でののk2+κ2
= [(2mV0)/
2]
を表している。小さい円ではκ = k tan kdとの交点は一つしかない。一方、大きい方の円では交点は二つある。円の半径が大きくなれば(V0が
大きくなれば)交点の数はどんどん増えて行く。この交点の位置のエネルギーだけが許されるわけであるから、やはりエネルギーが量子化されていることにな
る。それゆえ、束縛されている状態の時「離散スペクトルを持つ」とか「離散的固有値を持つ」というふうに言う。グラフの形から、かならず一つは交点がある
ことになるが、いくつあるかはdやV0など、問題設定によって変わる。
エネルギーが離散的な値を取るという現象は、そもそも量子力学の始まりのころに考えられたボーアの原子モデルで「量子条件」として提出されていた。ボーア
の時代にはその意味するところがよくわからなかった量子条件が、このような波動関数が境界条件を満たすための条件として出てくる、というのはシュレーディ
ンガー方程式の大きな勝利なのである。ここで解いたのは井戸型ポテンシャルという、水素原子に比べればかなり簡単な系であるが、それでも「エネルギーの量
子化」がちゃんと式に出てくるところは面白い。
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不確定性関係を使って見積もると、井戸の幅が2dなので、この中に入る波は最小でも∆p =
[h/2d]ぐらいの運動量の不確定性をもたなくてはいけない。そのために[((∆p)2)/2m]=[(h2)/8md]
ぐらいのエネルギーはもってしまう。そのエネルギーが井戸の深さよりも大きいと、波は外に拡がってしまうわけである。基底状態(偶関数解で、もっともエネ
ルギーが低く波長の長いもの)は、井戸の外まで拡がるような波の形になっているおかげでこの制約をまぬがれていると言える。上の図は、狭い井戸に束縛され
た粒子の基底状態を示している。波の∆xが井戸の幅よりもかなり大きくなっている。