第7講 相対性理論---新しい時間と空間の概念(その1)


エーテルの探求---何が光を運ぶのか?

 音も光も、波であると言われます。海の波などのように目に見えて振動している波と違って、音も光も、振動している様子を目でみて確認するということはできません。しかし、音が空気の振動であることは、例えば太鼓を「どん」と叩いた時の皮の振動の様子などをみていると実感することができます。

 では、光はいったい、何の波なんでしょうか。実は電場(プラス電気とプラス電気が反発したりする力を伝える場)と磁場(磁石の引力・斥力を伝える場)が波になっています。電場と磁場の波なのでこれを「電磁波」と呼びます。いわゆる「電波」は電磁波の一種です。光も電波も、電磁波です。

 マックスウェルは電場と磁場の満たす物理法則を「マックスウェル方程式」と今呼ばれている方程式にまとめました(もちろん本人は「マックスウェル方程式」とは呼んでません)。その方程式をいじくっているあいだに、電場と磁場が波になって伝わる、ということを方程式の上で「発見」し、「いったいどれだけの速さで伝わるのかな?」と計算してみました。そしてその速度が秒速30万キロ---つまり光速度だったことに驚き、喜びます。つまりこれが光の正体に違いない、と思ったからです。

 波だというなら、何かが振動しているに違いない---と考えた19世紀の物理学者たちはその``何か''に「エーテル」英語でether。イーサーと読みます。コンピューターの方で使うethernetというのは実は「エーテル・ネット」という意味になります。という名前をつけました(麻酔薬に使うエーテルとは別物です)。そして、そのエーテルが実際にあるとしたらどんなものなのかを考えました。

 まず、音の場合、空気中よりも水中の方が速い、水中よりも固体中の方が速い、という性質を持っています。つまり密度の高いもの、あるいは堅いものの中ほど速く伝わります。そもそも振動という現象は何かに押されて変形したものが元に戻ることによって起こります。密度の高いものや堅いものの方が変形した後で素早く元に戻りますから、伝わる波の速さも速くなります。ところで、光の速さは秒速30万キロ。音の速さである秒速300〜360メートルに比べ、ざっと100万倍も大きいことになります。このことからエーテルというのは非常に堅い物質であろうと予想されました。しかし、そんなに堅いエーテルでありながら、我々はエーテルを関知できません。つまり堅い物質でありながら、物質(我々の体を含む)を素通りさせるような性質を持っていることになります。

 この不思議なエーテルという物質が存在しているとすると、我々はエーテルの中を動いていることになります。そこで19世紀末の物理学者たちは「エーテルの運動を測定できないだろうか」と考えました。地球が自転・公転して位置を変えていることから、南北方向に進む光と東西方向に進む光の速さの差を測定すればよい、と考えました。実際に高い精度でこの実験を行ったのがマイケルソンとモーレーで、その実験装置は以下のようなものです

授業ではここにあるJavaによるアニメーションを見せました。

まずは地球の速度を変えてみて、コンピュータの上で実験をやってみてください。

 L字型の実験装置の東西に進んだ光と南北に進んだ光が鏡に反射されて戻ってくるまでの時間が同じか違うかを測定する、というものでした。地球は自転も公転も東西方向に動いていますから、時間差が出るはずでした。ところが、期待とは裏腹に、実験結果は「光速度は南北方向でも東西方向でも変化しない。しかも、この結果は時間、季節によらない。」というものでした。

 いくつか、この実験結果への反論(および反論の反論)を紹介しておきましょう。

運動しながら光を出せばその光の速度は$c$ではないのでは?

 つまり「実験装置が動いている場合の計算で速度を$c$にしているのが間違いなのではないのか」ということですが、例えば音の場合、音源が動いているからと言って音速は変化しません。音速が変化するとしたら、風が吹く(つまり媒質が運動する)か、観測者が動くことによってみかけの音速が変化するか、どちらかです。媒質の運動しているかどうかを観測する実験をやって、それがうまくいきませんでした。

たまたま、エーテルの移動と地球の移動が同じ方向だったのでは?

 だとしたら、その6ヶ月後に同じ実験をしたら、公転速度の二倍分、エーテルに対して地球は移動しているはずです。しかし、そんなことはなかったのです。

エーテルが地球といっしょに運動しているのでは?

 この実験だけを説明するのなら、「エーテルは地球表面といっしょに運動しているので、地球上で実験してもエーテルの運動は検出できない」という考え方でも説明できます。しかし、そうだとすると地球表面でエーテルが渦巻くような流れを作っていることになり、外から地球にやってきた光は、地表面近くのエーテルの流れに流されることになります。これでは、我々が見ている星の位置は、地上のエーテルの流れに流された分ずれることになってしまいますが、そんな現象は確認されてません。また、マイケルソンとモーレーは屋外での実験も行っており、「部屋の中のエーテルは部屋と一緒に動いている」という考え方も正しくないのです。

実験の精度が悪かったのでは?

 実験というのは、「これを判定するためにはこれだけの精度が必要である。ゆえにこのように実験装置を組み立てる」という計画を持って行うものです。マイケルソンらも、どれだけのずれかを予想して、誤差の精度がその予想より小さくなるように注意して実験を行っています。正しい実験家は、精度が確保できないような実験は最初から行わないのです。だから「古い実験だから精度が悪い」などということはありません。この実験自体は現在でも(光にレーザーを用いるなど、さまざまな改良をしたうえで)行われているので、「古い実験だから」などという反論は、そもそも成立しないのです。

 そう、マイケルソンとモーレーの実験は100年以上前の実験ですが、もちろん実験はこれで終わったわけではなく、現在もより高い精度で続けられています。現在カーナビに使われているGPSという人工衛星によるシステムは、人工衛星が送ってくるいわば「時報」の遅れ具合いから自分の位置を測定しています人工衛星からの時報が遅れているということは、自分がその人工衛星からその時間×光速度の距離だけ離れているということ。複数の人工衛星の時報の遅れを総合して計算すると、自分がどこにいるかわかる。

 GPS(カーナビ)の原理はこちらにあるJavaによるアニメーションを見せて説明しました。

 このようなシステムがちゃんと動くためには、光速度が立場によって変化しては困ります。光速度不変の原理は、いまや単なる物理学の上での原理ではなく、生活にも関係してきています。

 この「光速度不変」は実験事実ではありますが、非常に奇妙な現象であることは確かです。たとえば時速40キロで進む車から時速60キロで同じ方向に進む車を見ると、車が時速20キロで進むように見える(つまり実際より遅く見える)のが普通です。ところが、光の場合は決してこんなことは起きないのです。

この謎を解くためにローレンツが考えたこと

 マイケルソン・モーレーの実験でエーテルの速度が検出されなかったことは、物理学者たちに衝撃と困惑を与えました。ローレンツは「東西方向の棒の長さが縮んでいるために、東西が遅れるという予想に反し、同時に光が到着するのだ」という説を唱えました。これは{\bf 「ローレンツ短縮」}と呼ばれる現象です。フィッツジェラルドも同じようなことを考えていたので「ローレンツ・フィッツジェラルド短縮」と呼ぶこともあります。

 さっきのアニメーションで「ローレンツ短縮」を起こすとどうなるかがチェックボックスにチェックを入れることでわかります。やってみてください。

 ローレンツは、この短縮は観測できないと述べています。なぜなら、この短縮を観測しようとして物差しをあてると、その物差しも一緒に縮んでしまうからです。また、目で見ようとしても、見ようとする目自体も横に短縮しています。よって地上で、同じ速さで走っている我々がローレンツ短縮を測定することはできないのです。

 地球の外から見れば見えるんじゃないか?---と言いたくなりますが、それも無理です。ローレンツの計算によれば、その短縮の割合は光の速度を$c$、地球の速度を$v$とした時、$\sqrt{1-\left({v\over c}\right)^2}$倍とするとマイケルソン・モーレーの実験で光速度の変化が測定できなかったことが説明できます。地球の公転速度$v$は秒速30キロで、光速度$c$は秒速30万キロなので、${v\over c}$は${1\over10000}$程度で、計算してみると縮む割合は${1\over 200000000}$(二億分の1)程度となります。とてもではないですが「地球の外から見て」測れるとは思えません。そもそも、この精度で長さを測定すること自体が難しいでしょう。

 動いている物体は前後に縮む、と言われてもにわかに信じがたい。しかしマイケルソンとモーレーの実験を説明するにはこんな変なことが起っていると考え無くてはいけないのだろうか、と当時の物理学者たちは悩み始めます。

 そして後からだんだんわかってくることなのですが、ローレンツ短縮が起こると考えただけでは(←これだけで十分不思議なのに!)、この世界で起こる不思議なことを説明するには足りなかったのです。

 ここで、「何だと思う?」とアニメーションを見せながら質問してみました。私としては、↓の箱にある「ある現象が同時でない」というのが出てくるだろうと予想してだったのですが、意外なことに(と言っては失礼なのだけど)、そっちよりももっと見つかりにくい「不思議」が先に見つかって、それが答として出てきました。

 反射して帰ってくるまでの時間が長くなってます。

 そうなんです。ローレンツ短縮すると、

のように南北に行って帰ってくる光は「斜めに」進んで戻ってくることになります。だから、戻ってくるまでに光は長く走ることになります。「光の速度は一定」なのですから、距離が長くなったら、時間も長くかかったことになります。つまり、同じ実験の開始から終了までの時間が、地球上にいてこの実験装置と一緒に動く人と、地球の外から見ている人で違うということになります!

ローレンツ短縮という現象が起きているとすると、確かに二つの光はエーテル風が吹いていても吹いていなくても、同時に到着する。しかし、この立場で考えると、ある二つの事象が、エーテル風がない時には同時であるのに、吹いている時には同時に起こらない。それは何か???

 答は「光が鏡で反射する」という現象です。止まっている人(あるいは、実験装置と一緒に動いている人)にとっては、光は同時に反射しますが、動いている実験装置を見ている人にとっては、そうではないのです。

 上の問いの答えからわかるように、マイケルソン・モーレーの実験を解釈するには、単なるローレンツ短縮では足りず、時間に関するもっと大胆な理論が必要となります。

 それがアインシュタインの特殊相対性理論なのです。

慣性の法則の説明をした時に、

相対性
物体が静止しているのか、それとも等速直線運動しているのか、それを物理現象から区別することはできない。

という話をしたのを覚えているでしょうか。この「誰が静止しているかは(等速直線運動している物の間では)決められない」というのが「相対性」です。相対性の反対語は「絶対性」で「止まっているのは俺だ!」という絶対的な基準があるとするのが「絶対的な立場」ということです。

 相対性理論によれば、光速度不変を満たすためには、以下の三つの「不思議な現象」が起きなくてはいけません。
  • ローレンツ短縮、つまり長さが縮む。
  • ウラシマ効果、すなわち、動いていると時間がゆっくり進む(上で説明したように、実験にかかる時間が長くなった)。
  • 同時刻がずれる。

 さて、この「同時刻がずれる」ということから、「瞬間移動ができるならば時間旅行ができる」という驚くべき事実が判明します。これもここにあるアニメーションで説明しました。

 瞬間移動ができればタイムマシンもできる、ということになります。しかし逆に悲観的に考えれば、「タイムマシンなんてできそうにないから瞬間移動もできないだろう」ということにもなります。

 さて、ここまでで

エーテルの存在の仮定
 光が波なら、振動している`媒質'があるだろう。そして、その媒質であるエーテルが動いていれば、エーテルが止まっている場合と比べて光速度が変化するだろう。

という考えでエーテルを存在を確認しようとしていた人がいたことを話しました。この「エーテルの存在の仮定」を考えていた人は、(意識的にか無意識的にか)「止まっているのは俺だ!」という絶対的基準を求めていたことになります。もしも(実際はそうではなかったのだけど)、マイケルソン・モーレーの実験が成功して、「地球はエーテルに対して秒速○キロメートルで動いている」とわかったとしましょう。そうだとすると「エーテルと同じ速度で運動している人から見れば、光はどの方向にも同じ速さで伝わるはず」ということになります。その人は宇宙の中で特別な立場、すなわち「止まっているのは俺だ!」と主張できる「絶対的基準」を手にいれたことになるわけです。

 ところが光を使っても「絶対的基準」は手に入らなかった---ということは、この世は相対的なのだ(誰も「止まっているのは俺だ!」と主張できないのだ)というのが「相対的な考え方」だというわけです。この世界はとことん、「相対的」にできているということになります。

 つまり、エーテルというものを考えたこと自体が間違いなのでした!

 

 相対論はさらに不思議な結論を産むのですが、それについては、次回話しましょう。

感想・コメントへ
今日は時間いっぱいまで話してしまったことと、前後編の前編なので問題は出しませんでした。
感想・コメントなど

 青字は受講者からの声、赤字は前野よりの返答です。

水中の方が音が速いのはびっくりした。水中の方がよく伝わるのでしょうか?
速く伝わるということと「よく伝わる」ってことはまた違うんです。速くは伝わるけど、遠くにいくと減衰するということはあります。でもソナーという音の反射を使って水中の物体を見つける機械があるところを見ると、結構伝わってくれるようですね。

難しい。理解するのに時間がかかる(非常に多数)。
授業中でも言いましたが「常識に反する」話なので当然だと思います。でもそれは、我々の常識が「光速の何10%の速度で動いた経験がない」常識なので、仕方ないのです。

マイケルソンとモーリーの実験の方法はどんなものだったのかと気になった(どうやって同時かどうかを確かめるのだろう)。
実際はもちろん、もっと複雑なことをしてます。まず、光が波で、「山と山なら強め合い、山と谷なら消し合う」ということを使います。実験装置を回していくと、光の速度が南北と東西で違っていれば、回転に応じて波が強め合ったり弱めあったりという変化をするはず、ということを使いました。実験では、その変化がなかったのです。

「この世は相対的にできている」「絶対的な基準がない」というのはなんだか不安になる話だった。
そうですか? 逆に「どこかに絶対的なものがある」と言われると「ほんとかよそれ?」って不安になるかもしれませんよ。

移動する物体が縮んでいるなんて想像できないが、それを認めないと実験と合わないというのは不思議だ(非常に多数)。
だからこの実験もマイケルソンさんとモーリーさんを初めとして、何度も何度もやられているのですが、それでも不思議は消えなかったのです。

(ローレンツ短縮してた時の話で)反射する時間がずれたのに戻ってくる時間が同じなのは変な気がした。
そうなるように、うまいことローレンツ短縮が起こるからですね。実験的結果として「同じ時間に戻ってくる」のでその結果に合うようにするとローレンツ短縮が起こらなくてはいけない。しかしそうやっても、反射する時間までは同じにできない、ということです。

ローレンツ力のローレンツさんが時間や空間の研究もしていたとは知らなかった。
電気や磁気の研究をしていると、自動的に時間や空間の性質を知らないといけなくなったのです。

GPSを作った人は頭がいいなぁ。
うまく考えて作ってありますね。GPSは元々軍事技術だったりしますが。

浦島太郎はすごく速く動いたということでしょうか?(これも多数あった)
竜宮城は海の底似合ったのではなく、遠い宇宙の向こうにあって、浦島太郎は光速の99.99…%で往復したんだ、という説(というかもちろんフィクションですが)もありますね。

地球外から地球に戻った時、その人の体内時計はどうなるんですか?
実際の宇宙ロケット程度では、ほとんど地上の人と変わらないのでわかりません。将来出来るかも知れない、光速の99%で走るロケットとかだと「本人の体内時計は1年しか経ってない(1年しか年を取ってない)のに地球では5年経っている」なんてことが起こります。

テレビでペットボトルの中を光がゆっくり進む映像を見ました。
これかな?? 1秒に1兆コマという撮影(普通にやったらもちろんこんなことはできない)をしているという画像が見つかりました。それだと1コマごとに光が0.3ミリ走ることになります。つまり光がゆっくりなんじゃなくてものすごいスローモーション。

地球は自転しているから、北極と日本だと日本の方が時間がゆっくり流れているんですか?
自転速度は光の速度の100万分の1以下なので、それで計算しても1兆分の1程度時間の長さが違うだけです。

人間の目に伝わりにくい光の色などはあるんでしょうか。
光の色ってのは、光の波の波長(山から山までの距離)で決まります。これが長いのは赤、短いのは紫(中間あたりに緑がある)。波長が赤より長いと見えないし、紫より短いとやっぱり見えません(そういうのは赤外線とか紫外線とか言います)。

なんか信じられない。証拠はあるんでしょうか?
それについては、次回いろいろ話しましょう。

現代では、エーテルが何かわかっているんですか?
いえ、むしろ「エーテルなんてなかったんだ」とわかってます。

私たちの生活の中ではウラシマ効果は起こっているのか?
起こっているんですが、1兆分の1より小さいような効果しか起きてませんから、わかりませんね。

楽しい時間は速く過ぎるのは相対性理論は関係ありますか。
ありません(^_^;)。これは人間の気持ちの問題ですね。

中学の時の塾の先生が相対性理論を理解している人は日本に数人しかいないと言ってましたが本当ですか。
よくそういうことが本とかに書いてありますが、実際そんなことは全然ありません。相対性理論は今日話した『特殊相対性理論』ともっと難しい『一般相対性理論』がありますが、難しい方でも理解している人は1万人ぐらいはいます。易しい方はもっとです。

化学の実験では誰がやっても同じ結果にならないといけないと思っていたので普遍性があるんだと思ってた。運動すると人によって見え方が変わるなんて当惑してしまう。
当然「誰がやっても同じ結果」になるためには、実験の条件を揃えなくてはいけません。つまり、運動したりして見る立場が変わってしまったら、実験の条件が揃ってないので、違う結果が出てしまうこともあるのです。

タイムマシンは未来に行くのと過去に行くのはどっちがたいへんですか。
もちろん、過去です。というのは「因果律」(原因は結果よりも前にある)という法則があるわけですが、タイムマシンがあるとそれが成り立たなくなってしまうからです(この話しはまたいつかしましょう)。

もしタイムマシンができたら、未来人がやってくるはずですが、いないってことはタイムマシンはできないんでしょうか。
たぶんできないとは思います。でも「未来人は来ているけどうまく隠れている」という可能性も…(ないか)。

現代科学では瞬間移動はできませんか??
できません。たぶん、未来の科学でも無理なんじゃないかなぁ

光より速い速度なら未来に行けますか?
そうじゃなくて、光より遅いけど限りなく光に近い速さでうごくと、ウラシマ効果で自分の時間は経たずに回りの時間が経ちますから、未来に行けます。光速以上を出す必要はありませんし、(今日はまだその話ししてませんが)実は光より速く走ることは通常の物質には不可能です。

時間旅行がほんとうにできたらいいのになぁ(これも多数)。
残念ながら難しいです。過去→未来の方はまだ可能なんですが…。

過去から未来へタイムトラベルする時が消えていましたがどこに行ってるんですか。
過去から未来へタイムトラベルしているんですから、その間はどこにもいません(どっかにいるんなら、それはタイムトラベルしているんじゃなくてただの隠れんぼじゃないですか)。

過去にタイムトラベルした時は自分がいるという話でしたが、未来に行った時はいないんですか。
そりゃいないでしょう。だって自分はタイムマシンに乗っちゃったんだから。

タイムトラベルした時、その人の意識はつながってるんでしょうか?
つながっているでしょう。タイムトラベルしてない人からタイムトラベルしている人を見ると、不連続なことが起こっているように思えるけど、本人の意識はつながっているはずです(逆も同様)。

未来から過去へタイムトラベルした時、どうしてが二人になったのかがわからない。
明日のあなたがタイムトラベルして今日にやってきたとしましょう。すると「今タイムマシンでやってきたあなた」と「まだタイムマシンに乗ってないあなた」と、二人いることになるでしょ。

タイムマシンを作るためには光より速く動かなくてはいけないのでしょうか?
そういうことになります。そして実は、それは不可能なんです。

物理学って夢を壊す学問ですね。
と、同時に新しい夢もたくさん作ってくれる学問だと思います。

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