[∂/∂t]
なりHなりをψ*とψの間にはさむことで計算できる、というところまでを話した。今日はその続き。まず
先週の復習をした。
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(9.13) |
]Et]のような関数になってい
て、ψ*(x,t)ψ(x,t)=φ*(x)
φ(x)となっている。この場合、状態の確率密度には全く変化が見られない。また、∫ψ* x
ψdxのように間にxをはさんで積分すればxの期待値が計算できるが、これもエネルギー固有状態ならば時間によらない。
一方、
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/∆E]
たつと確率密度が一回増減する。逆に言えば、これより小さい時間では確率密度はたいして変化しない。そういう意味でなんらかの状態変化が起こるには、
[
/∆E]
程度は待たなくてはい
けない。
∆t=[
/∆E]の範囲内には状
態変化がほとんどない(その時間内ならどの時間も同等)のだから、何か実験を行った時、「何かが起こる時刻」はそれぐらいの幅の間のどこで起こるのか予測
不可能になる(ゆらぎを持つ)だろう。だが、∆t(時間的拡がり)は観測前からそこにあったのである。そしてその最初からあった不確定性が、∆E∆t
> hという式を満たすのである。
[∂/∂x
]であるのに対してエネルギーを演算子で表すとE=i
[∂/∂t]なのである。このようになるのは、波動関数ψ ≅ ei(→k·→x−ωt)のexp
の肩が
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(9.17) |
[∂/∂x]なのにエ
ネルギーが
i
[∂/∂t]
と、符号がひっくり
返っているのはなぜですか?」という質問をされることもよくあるが、それは結局、上の式の位相部分に現れる組み合わせ
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[∂/∂t]ψ
= Hψと、シュレーディンガー方程式の複素共役である−i
[∂/∂t]ψ*=(Hψ)*を
使いつつ計算を行うと、
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[∂/∂x]
のような微分演算子であるからである。
以後の計算で、xH−Hxのような演算子の順番を変えて引き算したものがよく出てくる。そこでこれを
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]E0] tψ(x,
t)となるだろう。量子力学でこのような波動関数の置き換えを行うと、物理的内容は変わるだろう
か、変わらないだろうか。
がもっとも重要な式といえる。この式の重要性は、量子力学をある程度勉強していくうちに実感していくだろう。