初等量子力学講義録2005年第13回


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8.2  座標の期待値

波動関数と<x>
 波動関数は常にある程度の広がりを持ちながら時間発展していく。その波動関数の時間変化こそが、いわば「運動」なのであるが、古典的な「粒子の運動」と比 較するために、「波動関数がある関数になっている時、粒子はどのあたりにいると考えればよいのか」ということを示す量が必要である。
 そのような指標として、期待値(記号では < x > )を使うことが多い。波動関数が一つの山の塊(波束)を持つような時、 < x > はまさにその山の中心を指し示すことになる(複数個の塊があるならばその平均のところにくる)。
 具体的には、期待値は以下のように計算される。まず一般的な「期待値」の定義を述べよう。
 ある物理量Aがある値Aiを取る確率がfi(iはいろんな現象を区別する添字であるとする)である時、
< A > =

i 
fi Ai
(8.9)
が「Aの期待値」である。たとえば100分の1の確率で1000円あたり、10分の1の確率で100円あたるクジであれば、もらえる賞金の期待値は
f1000円当り×1000 + f100円当り×100 + f外れ×0 = 1
100
×1000+ 1
10
×100 + 89
100
×0 = 20
(8.10)
となる。量子力学では確率しか計算できないので、物理量そのものではなく、物理量の期待値が計算できることになる。ここではiという不連続な添字で物理量のいろんな値を表したが、連続な変化をする場合ももちろんある。
粒子が位置座標xからx+dxの間に存在している確率は|ψ(x)|2dxであるから、期待値 < x > は、
< x > = dx ψ*(x,t) x ψ(x,t)
(8.11)
のようにして計算することができる(ただしψは規格化されていなくてはならない)。ここでxをψ*とψの間に置いているが、この場合は別にxψ*ψでも、ψ*ψxでもよい。
単純な矩形波矩形波
ψ(x)=

1



δ

a < x < a+δ
0
それ以外
         
(8.12)
のような場合(ここでは時間依存性を無視している。実際には、このような波は時間がたつと形を変えていくはずである)、

dx ψ* x ψ = a+δ

a 
dx 1
δ
x = 1
δ

[ x2
2
]
a+δ

a 
= 1

((a+δ)2−a2) = 1

(2aδ+δ2) = a+ δ
2

(8.13)
となって、確かに波の中心である。
古典力学で「粒子の位置」と我々が観測するものはこのような < x > である。ただし、たいていの場合波の広がりは測定機器の誤差の中に埋もれてしまう。

8.3  座標期待値の運動

 このように定義された < x > が時間的にどう変化するかを見ておこう。そのために[d/dt] < x > という計算を行う。この場合、xは時間に依存せず、依存するのはψ(x,t)の方であることに気をつける。


d
dt

dx ψ*(x,t) x ψ(x,t)
= dx ψ*(x,t)x
∂t
ψ(x,t)+
∂t
ψ*(x,t)xψ(x,t))

(8.14)
となる。

【以下長い註】この部分は、最初に勉強する時は理解できなくともよい。
 たまに、「この式の左辺では微分が常微分[d/dt]なのに、右辺に行くと偏微分[∂/∂t]になっている。おかしいではないか」と質問する人がいるので、少し説明しておく。
 左辺において微分されている∫ψ*(x,t)ψ(x,t) dxにおいては、xはすでに積分が終わっている(つまり、xはいろんな値が代入されて足し算が終わっている)ので、実はxの関数ではなく、tのみの関数なのである。だから、左辺の微分はあきらかに偏微分ではない。
「しかし、右辺のψ(x,t)の中にはxがある。このxをtで微分したら[dx/dt]は出て きそうな気がする」と不安に思う人もいるかもしれない。しかし、ψ(x,t)の中のxは時間によって変化する量ではないのであって、古典力学での場所を表 すx(t)とは違うものであることに注意しなくてはいけない。このxは「場所x、時刻tでの波動関数ψ(x,t)」のようにψの場所を指定する、いわば 「番地」なのである。これに対し、古典力学のx(t)は粒子の存在している位置である。この二つのxの違いは、流体力学でLagrangeの方法と Eulerの方法の違いと本質的に同じである。

【長い註終わり】
 これでは説明が足りない感じだったので、9章に書いておいた、「古典力学では力学変数はx(t),p(t)だが、量子力学ではxはラベルでしかなく、ψ(x,t)が力学変数になる」ということの概念的説明を先にここで話した。

古典と量子。
 力学変数がx(t),p(t)からψ(x,t)と変わったことをたとえ話で説明しておく。広い運動場に一人の人間が走り回っているのを見ているとしよう。 この「状態」を知るには、その人がどこにいるか(x(t))と、どれぐらいの運動量で動いているか(p(t))を知ればよい。これが古典力学的運動に対応 する。
 これに対し、量子力学的な運動に対応するのは、運動場一杯にぎっしりと人が立っていて、サッ カーの応援などでやる「ウェーブ」をやっているところである。ウェーブが動いていく姿が波束の動いていく姿すなわち粒子の動いていく姿に対応する。波動関 数の山になっているところが移動していくことが古典的な意味の粒子の移動なのである。このように「波動関数が時間的に変化して、それによって粒子のいそう な場所(期待値)も変化していく」という考え方をするならば、波動関数ψ(x,t)は空間の各点各点に一個ずつ存在する「力学変数」であり、すべてのψ (x,t)を決めてその時間発展を考えなくてはいけない。そして、この立場ではxは時間的に変化するものではなく、「たくさんあるψのうち、どれを考えて いるのかをしているする名札(ラベル)」でしかない(ウェーブが移動しても人は移動しない)。

 で、8章に戻る。

 ここでシュレーディンガー方程式i[\hbar2/2m][∂/∂t]ψ = [−[(\hbar2)/2m][(∂2)/(∂x2)]+V(x)]ψが成立しているものとして、


∂t
ψ = −i
\hbar

[ \hbar2
2m

2
∂x2
+V(x)] ψ   および   
∂t
ψ*= i
\hbar

[ \hbar2
2m

2
∂x2
+V(x)] ψ*
(8.15)
を代入する。すると、



d
dt

dx ψ*(x,t) x ψ(x,t)

= dx ψ*(x,t)x −i
\hbar

[ \hbar2
2m

2
∂x2
+V(x)] ψ(x,t)+ i
\hbar

[ \hbar2
2m

2
∂x2
+V(x)] ψ*(x,t)xψ(x,t))

(8.16)
となる。ここでV(x)に比例する部分は同じものが逆符号になっているので消える。整理すると、


d
dt

dx ψ*(x,t) x ψ(x,t)
= i\hbar
2m

dx ψ*(x,t)x2
∂x2
ψ(x,t)− 2
∂x2
ψ*(x,t)) xψ(x,t))

(8.17)
 第2項のψ*の方にかかっている微分を部分積分を使って外していく。この時、積分範囲の端っこ(たいていの場合はx=±∞だろう)ではψやその微分は0になっているとして、表面項は無視しよう。部分積分の結果は


dx2
∂x2
ψ* x ψ =
dx
∂x
ψ*
∂x
( x ψ)
=

dxψ*2
∂x2
( x ψ)
=

dxψ* x 2
∂x2
ψ+ 2
∂x
ψ)


(8.18)
となる。この第1項は最初からあった[(∂2)/(∂x2)]ψの項と消し合う。残るのは、


d
dt

dx ψ*(x,t) x ψ(x,t)
= −i\hbar
m


dx ψ*(x,t)
∂x
ψ(x,t)

(8.19)
となる。この式をよく見ると、1/m∫dx ψ*(x,t)(−i\hbar[∂/∂x])ψ(x,t)のように、ψ*とψの間に運動量演算子−i\hbar[∂/∂x]がはさまった形になっている。これは「運動量の期待値」と考えてよい量になっている。これが妥当であることは後で示すとして、とりあえず∫dx ψ*(x,t)(−i\hbar[∂/∂x])ψ(x,t)を < p > と書いておくと、

d
dt
< x > = 1
m
< p >
(8.20)
が示されたことになる。これはつまり、p=mvである。古典力学的にはあたりまえの式であるが、量子力学の中ではこのように期待値の形で実現することになる。

 この時出てくるd<x>/dtは群速度なんですか?
 そう、先週の計算でもpに対応するのは群速度の方だったでしょ。
 次の章で、古典力学の関係式が量子力学では期待値の形で実現するということについて、より一般的な考察をしながら確かめていこう。

8.4  演習問題

[演習問題8-3]
三角波
左のように表される波動関数ψ(実数部しかない)を規格化した後、 < x > を求めよ。

[演習問題8-4] [演習問題7.4] で計算した波動関数それぞれの場合について < x > を計算してみよ。
[演習問題8-5] ∫ψ*(x,t)ψ(x,t) dxの値は時間が経っても変化しない(確率の保存則)ことを、 シュレーディンガー方程式とその複素共役から作られる式(8.15)を使って証明せよ。ただし、ψ(x,t)およびその微分は遠方では0になっているものとする。
[演習問題8-6] ab ψ*(x,t)ψ(x,t)dxのように、積分範囲を一部分(a < x < b) にすると、この量は一般に保存しない。なぜなら、x=aとx=bという端っこから、粒子が逃げ出して行く(あるいは外から粒子が入って来る)からである。この式を微分すると

d
dt

b

a 
ψ*(x,t)ψ(x,t)dx = [ J(x,t) ]ab
のかたちに直すことができるが、このJ(x,t)はすなわち、粒子の存在確率が正方向へどれくらい出て行くかを表す量である。ψ(x,t)が(8.15)を満たしている場合について、J(x,t)を求めよ。


第9章 物理量と期待値

9.1  運動量の期待値

 運動量の期待値を計算する方法を考えよう。ただし、この節では規格化の問題を簡単にするために、xの範囲を−π < x < πとし、周期境界条件をおく39
 このように定義された関数は
f(x)= 1








n=−∞ 
Fn einx
(9.1)
のようにフーリエ級数で展開できる。前に出てきたフーリエ級数(6.3)はcos nx,sin nxを使っていたが、ここではeinxを使っている。einx=cos nx + i sin nxであることを思い出せば、上の式は

f(x) =

1








n=−∞ 
Fn (cos nx + i sin nx)
=

1





F0 + 1








n=0 
[ (Fn+F−n)cos nx + i(Fn−F−n)sin nx]

(9.2)
となる。

1





F0= 1
2
a0,   1





(Fn+F−n) = an,   i





(Fn−F−n) = bn
(9.3)
とすればこの式は(6.3)と同じである。
 このように波数nを持った波einxを適当な重みFnをかけて足し算(重ね合わせ)していくことで、いろんな形の関数を作ることができる40。このnは整数に限るが、それは周期境界条件ψ(π)=ψ(−π)を満足するようにである。
 この関数f(x)を波動関数だと考えると、波数nということは運動量\hbarn を持っているということだから、Fnは、「波動関数の中に運動量\hbarn を持った成分がどの程度含まれているか」を示すと言うことができる。確率はψ*ψに比例するから、運動量が\hbarnになる確率はF*n Fnに比例する(Fnは一般に複素数であることに注意。うまく規格化されていれば、「比例する」ではなくF*Fは確率そのものとなる)。
単純な例を考えよう。ある波動関数が
ψ(x)= 1





( F1 eix+ F2 e2ix+F3e3ix)
(9.4)
のように、3つの波動関数の和として与えられたとする。各成分であるところのeix,e2ix,e3ixはそれぞれ、\hbar,2\hbar,3\hbarの運動量を持っている粒子を表す波動関数と解釈でき、F1,F2,F3はそれぞれの波がどの程度混じっているかを表す数字である。まず規格化条件を考える。 ψ*ψを積分すると


π

−π 
ψ*ψdx=

1


π

−π 
(F1* e−ix+ F2* e−2ix+F3*e−3ix)(F1 eix+ F2 e2ix+F3e3ix)dx

(9.5)
となる。
sinとcosの波
ここでeinx(n ≠ 0)のような振動関数を範囲−π < x < π(n周期分に対応する)で積分すると、答えはゼロになることを思い出そう。波の山と谷を足して行くことになるからである。これを使うと、かけ算の結果eixが残るような項(たとえばF*1e−ixとF2 e2ixの積)はどうせゼロだから計算する必要はない。このように違う運動量を持った波動関数の積を積分すると0になる(同じ運動量を持つものどうしの積だけが残る)のはすぐ後で学ぶ一般的な法則「エルミートな演算子に対して異なる固有値を持つ固有関数は直交する」(「エルミート」という言葉の意味はすぐに出てくる)の一例である。
 さて以上のような考察から、


π

−π 
ψ*ψdx =

1


π

−π 
(F1* F1 + F2* F2+F3*F3) dx
=
F1* F1 + F2* F2+F3* F3

(9.6)
なので、規格化条件から、F1* F1 + F2* F2+F3* F3 = 1でなくてはならない。この時、F1* F1,F2* F2,F3* F3という3つの数は、運動量がそれぞれ、\hbar,2\hbar,3\hbarになる確率を表す。よって、この場合の運動量の期待値は(値)×(確率)の和として計算して、
< p > = \hbar F1* F1 + 2 \hbarF2* F2 + 3\hbar F3* F3
(9.7)
ということになる。
では、運動量の期待値を計算するには、まず波動関数を(9.1)のようにフーリエ級数で展開して、係数Fnを求めておかなくてはいけないのだろうか?
実はその心配はない。「運動量を演算子−i\hbar[∂/∂x] で置き換えることができる」ということのありがたさがここでも出てくる。波動関数にこの演算子をかけると、
−i\hbar
∂x
ψ(x)= 1






−i\hbar
∂x
) (F1 eix+ F2 e2ix+F3e3ix ) = 1





(\hbarF1 eix+ 2\hbar F2 e2ix+3\hbar F3e3ix )
(9.8)
となる。つまり、波動関数の各成分の前に、それぞれの成分の持つ運動量がかけ算された形で出てくる。これにψ*をかけて積分すると、さっきと同じ理由でeixが残らない部分だけがノンゼロで残るから、


π

−π 
ψ* −i\hbar
∂x
) ψdx =

1


π

−π 
(F1* e−ix+ F2* e−2ix+F3* e−3ix ) (\hbar F1 eix+ 2\hbar F2 e2ix+3\hbar F3e3ix )
=
 \hbarF1* F1 + 2 \hbarF2* F2 + 3\hbarF3* F3

(9.9)
である。もっと一般的な波動関数であっても同じことが言える。つまり、Fn を計算しなくても、
< p > = ψ* −i\hbar
∂x
) ψdx
(9.10)
と計算すればよいのである。前に < x > の計算でわざわざxをψ*とψの間に置いたのは、この式と同じ形になるようにである。−i\hbar[∂/∂x]の方は微分演算子であるからどこにおいてもよいというわけにはいかない。



[問い9-1] −π < x < πで定義された波動関数がψ = [1/√{π}]sin xだっ たとする。この場合の < p > を求めよ。
[問い9-2] 前問での < p > の答えは、計算せずとも、sin x=[1/2i](eix−e−ix)から簡単にわかる。どのようにわかるのか?



ここで、einxという関数は−i\hbar[∂/∂x]をかけると
−i\hbar
∂x
einx =\hbarn einx
(9.11)
のように、\hbarn×(元の関数)という形にもどる。このようにある演算子をかけてその関数の形が変わらず、ただ元の形の定数倍になる時、その関数を固有関数と呼び、その時出てきた数(今の場合\hbarn)を固有値 と呼ぶ41
上では3種類の運動量を持つ状態の足し合わされた状態になっている波動関数を考えた。このような波動関数は固有関数ではない(一個一個の成分は固有関数)。波動関数が運動量の固有関数になっている(einx一項のみからなる)ということは、その波動関数で表されている量子力学的状態は運動量が一つの値(\hbarn)に決まっていて、ゆらぎがないということである。
 この時、ψ*ψを計算すると、xによらない定数となる。なぜならば、e−inxeinx=1という計算からxが消えてしまうからである。つまり、このような波動関数は確率密度が定数、すなわち、「どこにいるんだかさっぱりわからない」ということである。運動量が確定すると位置が不確定になるという不確定性関係が、ここでも実現している。
 実際に存在する波動関数では、いろんな運動量を持った波動関数の重ね合わせになっており、運動量が一つの値に確定していない(それ ゆえ逆にxに関してはある程度は決まっている)。任意の関数がフーリエ変換によってeikxの和の形にかけるということはすなわち、任意の波動関数がいろんな運動量を持った波動関数の重ね合わせでかならず書けるということである。

9.4  演習問題(関連する問のみ)

[演習問題9-1] ψ(x)=e3ix+eixという波動関 数(xの範囲は−π < x < π)を規格化した後、運動量の期待値を求めよ。

学生の感想・コメントから

 量子力学が古典力学を含んだものだということがわかった(多数)。
 来週やる計算では、運動方程式がでてきます。

 人間がウェーブを作っている絵ですが、あの人間一人一人は存在せずに、波が伝わっていくんですよね?媒体はないので。
 はい。人間・・というか、波を伝える実体のようなものは存在していません。


 二階微分が
dx ψ*(x,t)x2
∂x2
ψ(x,t)= dx 2
∂x2
ψ*(x,t)) xψ(x,t)
と持って来れないのはなぜですか?

dx ψ*(x,t)2
∂x2
xψ(x,t)) = dx 2
∂x2
ψ*(x,t)) xψ(x,t)
とならできます。つまり、微分を折り返したとき、その微分はxにもかからなくてはいけないのです。

 部分積分で、[なんとか]-∞の部分を無視すると言ってましたが、∫-∞(なんとか)dxの部分は無視しませんでした。違いは何ですか?
 [なんとか]-∞には、積分の端っこ(-∞と∞)の部分しか入ってません。∫-∞(なんとか)dxの方は、その間の全てが入ってます。無視するのは、無限に遠いところだけです。

 どんな波でも一周積分したら0になるんですか?
 「どんな波でも」というわけにはいきません。正負が均等に出る波だけです。cosやsinで書けている波なら大丈夫です。

 F1,F2,F3はどうやって求めるんですか?
 実際に関数の形が決まっていれば、前からe-ixをかけて積分すればF1が求められます。このへんは、cos,sinによるフーリエ級数の時にanとかを求めたときと同じです。

 <x>と<p>にはどんな関係がありますか?
 今日やったm(d<x>/dt)=<p>とか。

 量子力学も相対論もニュートン力学を含んでいるのなら、この二つの間には何か関係がないのですか?
 「古典力学か量子力学か」と「相対論的か非相対論的か」は独立な命題です。つまり、


非相対論的
相対論的
古典力学
ニュートン力学
相対論的力学(アインシュタイン)
量子力学
シュレーディンガー方程式
クライン・ゴルドン方程式、ディラック方程式など

のような対応関係になります。相対論的な量子力学は、この講義では扱いません。

 m(d<x>/dt)=<p>は不確定関係に反していると思う。<x>=0なら、<p>=0でしょう。
 不確定性関係は、xやpの広がりであるΔx、Δpの間の関係です。<x>や<p>は平均値あるいは期待値であって、広がりを表しているわけではないので、<x>=0や<p>=0になっても問題ありません。

 量子力学では確率しか計算できないということで不安になっていたが、期待値が計算できることと、古典力学が期待値を通して入っていると知って安心した。我々の眼ではΔxやΔpが見えないので古典力学で記述しても問題は起きなかったのかなぁ、と思った。
 そういうことです。ところがミクロな世界を記述しようとすると、ΔxやΔpを考えざるを得なくなってしまった、というわけです。

 期待値より考えられるm(d<x>/dt)=<p>は、いったいどこの世界の式ですか。
 あなたが住んでいるこの世界ですよ(^_^;)。

 今日の収穫は、古典論におけるxと、量子論におけるxの違いがはっきりしたこと。もやもやしていたところなのでうれしかった。
 この部分がわかってないと、かなり長い間もやもやしっぱなしになります。早めに解消できてよかったですね。

 いまさらですが、波動関数ψって何を表しているんですか?
 ほんまに「いまさら」ですな(^_^;)。とりあえずはψ*ψが確率密度を表すらしいということを認めてください。そして、ψの山になっている部分に粒子がいると思ってその運動を追いかけると古典論がちゃんと出るらしい、というところがここまでわかったことです。 
 

Footnotes:

41歴史的事情から、英語の本でも、これらの「固有」はドイツ語であるeigen(発音は仮名書きするとアイゲン) を使う。固有関数はeigen function、固有値はeigen value。


File translated from TEX by TTHgold, version 3.63.
On 15 Jul 2005, 17:55.