物理の魅力を教えます2008
光(電磁波)以外の方法による宇宙の観測
ニュートリノ、宇宙線、重力波などで宇宙を観測する方法もあります。

ニュートリノ観測器
ニュートリノという素粒子は、他の物質とほんのわずかしか反応しないため、物質をほとんど透過してしまいます。
このようなニュートリノを観測するために観測装置が稼動しています。

  • スーパーカミオカンデ (http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/sk/)
    (東京大学宇宙船研究所 神岡宇宙素粒子研究施設)
    ニュートリノをとらえるために 直径39m、高さ41m(5万立方メートル)の巨大な水のタンクを地下1,000mに設置したものがスーパーカミオカンデです。
    タンクの内部に光電子増倍管が1万1,200個並べられ、 水中の陽子や電子にニュートリノが当たったときに出るチェレンコフ光を検出します。
    これまでに太陽の中心で生成されたニュートリノや、超新星爆発のときに発生した ニュートリノによるチェレンコフ光の検出に成功しています。

  • Gran Sasso(http://www.lngs.infn.it/)、SNOLAB(http://www.snolab.ca/)
  • 外国にもイタリアのGran Sasso(グランサッソ)国立研究所や、 カナダのSNOLAB(Sudbury Neutrino Observatory) など数多くのニュートリノ観測施設があります。

  • AMANDA(http://www.amanda.uci.edu/)、IceCube(http://icecube.wisc.edu/)
  • スーパーカミオカンデのような水のタンクを利用する代わりに、南極の氷を利用する ニュートリノ天文台。
    現在建設中のIceCubeニュートリノ天文台は、1,450mから2,450mの深さの南極の氷のなかに約4200個の光電子増倍管を埋設して、 ニュートリノを検出する計画です。

宇宙線検出器
宇宙線は、銀河の中の超新星爆発の後に残ったガスや、近くの銀河からやってくる陽子などの電荷を持った粒子だと考えられています。
この様な粒子が地球の大気に入射すると、大気中の原子核と衝突し、2次的な素粒子を次々に生成します。
これが空気シャワーとなって地上到達したものを検出するのが宇宙線観測です。


重力波検出器
アインシュタインの一般相対論によると、重力場の変化(時空の変化)が重力波として 伝わって行くことが予言されています。
これを検出するために、レーザー光の干渉を利用した 干渉計型重力波検出器が最近になって観測を開始しました。
今後数年(1年?)以内に重力波を 検出することが期待されていますが、重力波は極めて微弱なため、これまでのところ、 検出には成功していません。

地上に設置された干渉計型重力波検出器
  • LIGO(http://www.ligo.caltech.edu/)
  • VIRGO(http://www.ego-gw.it/)
  • GEO600(http://geo600.aei.mpg.de/)

日本の計画
  • LCGT(http://www.icrr.u-tokyo.ac.jp/gr/gr.html)

干渉計型重力波検出器を人工衛星を利用して宇宙に設置する計画
  • LISA(http://lisa.nasa.gov/)

  • DECIGO