磁性の基礎 〜強相関電子入門〜

担当教員:藤秀樹先生(神戸大学大学院 理学研究科)

単位:2

教室:理105

日程:2015年12月14日(月)〜17日(木)

授業内容と方法:

強相関電子系において発現する新奇な超伝導や秩序の理解は、磁性を基礎としてなりたっているといっても過言ではない。本講義では、1〜9までは量子力学や統計力学を用いて、磁性の基礎すなわち、一電子原子の磁気的性質から出発し、多電子原子の磁気的性質、分子の磁気的性質、物質における磁気的性質について基礎的な概念を解説する。また、発展として10〜13では、強相関電子系での議論の土台となっている主要な理論の概略を実験結果をまぜながら解説する。

評価基準と評価方法: 毎回の出席と最後に課されるレポートで評価する。

履修条件: 学部4年次および大学院修士1,2年次

授業計画:

  • 1.磁性の概略
  • 2.一電子原子と磁性(軌道角運動量とスピン角運動量がもたらすもの)
  • 3.多電子原子と磁性I(交換相互作用とは)
  • 4.多電子原子と磁性II(LS多重項とフントルール)
  • 5.分子と磁性(分子軌道法とHeitler-London近似)
  • 6.スピンの秩序と分子場近似I(分子場近似と磁性)
  • 7.スピンの秩序と分子場近似II(ハイゼンベルグモデルと磁気構造)
  • 8.物質中の原子と結晶場(結晶場と常磁性磁化率)
  • 9. 遍歴する電子が示す磁性
  • 10.超交換相互作用と磁性
  • 11. 伝導電子と局在電子との相互作用と磁性
  • 12.遍歴電子とスピンの揺らぎ

重力波宇宙物理学入門

担当教員:田越秀行(大阪市立大学)

単位:2

教室:理複202

日程:2015年11月2日(月)〜5日(木)

授業内容と方法:

重力波の理論とデータ解析入門,重力波天文学入門,重力波宇宙物理学入門を授業の内容とする。

重力波は一般相対論が予言する時空のゆがみの波動であるが,非常に微弱であるために,一般相対論が誕生して100年たってもまだ直接検出はされていない.この重力波の直接検出を目指した第2世代の地上レーザー干渉計検出器の建設が進められており,アメリカのLIGO検出器は2015年9月から最初の観測が開始された.重力波発生のイベントレートから数年以内に初検出がなされる可能性が高いという状況である.もし検出されれば,それにより一般相対論の検証ができるだけでなく,重力波により宇宙を観測する,重力波天文学が幕を開けることになる.本講義では,このような重力波の物理と天文学の理解に必要な最低限の知識の取得を目標として,重力波とは何か,という基本的な事柄から,重力波源となる天体と重力波検出のためのデータ解析手法の概要について解説を行う.

評価基準と評価方法: 講義の最後に課すレポートで評価する。

履修条件: 学部3,4年次および大学院修士1,2年次生対象

授業計画:

  • 1.一般相対論入門1
  • 2.一般相対論入門2
  • 3.重力波の伝搬
  • 4.重力波の生成1
  • 5.重力波の生成2
  • 6.重力波天体の概要1
  • 7.重力波天体の概要2
  • 8.重力波データ解析方法入門1
  • 9.重力波データ解析方法入門2
  • 10.重力波データ解析方法入門3

電子物性概論—自由電子系から強相関電子系まで—

担当教員:武藤哲也(島根大学大学院総合理工学研究科)

単位:2

教室:理複202

授業内容と方法:

固体の諸物性が電子の性質に起因することを強調して,固体物性を電子物性と称することがある。本講義では,量子力学や統計力学の帰結に基づいた電子の基本的性質から,電子物性における特異な諸現象がどのように理解されるかを説明する。理想フェルミ気体としての自由電子系の性質に基づいて,金属における電子状態を自由電子近似により記述することから始め,超伝導や強磁性といった諸物性の特徴や起源を解説する。さらに現在の電子物性研究の重要な研究対象である強相関電子系の基礎についても講義する。

評価基準と評価方法:

毎回の出席と最後に課されるレポートで評価する。

履修条件:学部3,4年次・大学院生

授業計画:

  • 1. 電子物性とは
  • 2. 自由電子モデル(理想Fermi 気体)
  • 3. 固体内電子の自由電子近似
  • 4. 固体内電子の強束縛電子近似
  • 5. バンド理論
  • 6. スピン磁性
  • 7. 金属磁性
  • 8. Bose-Einstein 凝縮
  • 9. 超伝導現象
  • 10. 超伝導の現象論
  • 11. 超伝導のミクロな理論
  • 12. 強相関電子系
  • 13. 最近の話題

事前・事後学習:課題レポートを通して、授業内容を復習すること。

備考:

  • 登録は,8 月3 日より物理系事務室(理206 室)で行う。
  • 9 月3 日(木)15:00 より講演会を行う。

    講演タイトル「動的平均場理論の視点から見た重い電子系」

  • 講義世話人:辺土正人(理複506)

    武藤先生への質問を含めて,質問があれば上記居室へ訪ねて下さい

「重い電子系の物理」

担当教員: 大貫惇睦

単位: 1

教室: 理313(予定)

授業内容と方法:

物性物理学は通常、物質の構成、格子振動、金属電子論、半導体と光物性、誘電的性質、超伝導、磁性のような分類でまとめられている。これらの基本的考えをすべて理解した上で、新物質の解明にチャレンジすることが大切である。重い電子系の物理を意識しつつ、物性物理学を全般的に学ぶ。黒板での講義なのでノートを持参すること。

講義日程は、5/21 より毎週水、木の1限目に予定している。(5/21, 5/27, 5/28, 6/3, 6/4, 6/10, 6/11)

達成目標:

一般的な物性物理学の教科書の内容が理解できるようになること

評価基準と評価方法:

出席とレポートで評価する。毎回基本となるレポートを出題し、次回講義までに提出してもらう。

履修条件:

学部4年次・大学院生

授業計画:

  • 格子振動と格子比熱(5/21)
  • バンド理論と物質の分類(5/27)
  • 超伝導(5/28)
  • 磁性1(6/3)
  • 磁性2(6/4)
  • 固体の電気抵抗、比熱、磁化率、磁化(6/10, 6/11)

テキスト:

(以下の URL からダウンロードして準備して下さい)

 http://goo.gl/DyMB0u

参考書:

  • 物性物理学 大貫惇睦編著(朝倉書店)
  • 重い電子系の物理 上田和夫、大貫惇睦著(裳華房)

オフィスアワー:

平日12:00 〜 13:00(理107室)

メールアドレス:

onuki_at_phys.u-ryukyu.ac.jp   (_at_ を@に変えてください)

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Last-modified: 2016-05-18 (水) 19:22:10 (3064d)