特別講義情報

非平衡現象に対する数理モデリング

担当教員:山崎 義弘(早稲田大学理工学術院 教授)

期間: 12/4-8

単位:2単位

教室:理学部本館講義室

授業内容と方法:

 流体の運動・化学反応・生物の集団行動や増殖といった現象に代表される非平衡系の動的現象を、統計物理学および力学系理論に基づき包括的に理解しようと試みられて、およそ50年が経つ。このような包括的理解において、これまでにスケーリング・相転移・臨界・分岐・ネットワークなどにまつわる様々な概念構築が行われてきた。本講義では、このような概念構築の状況を過去から現在まで概観し、非平衡系の動的現象を単純なモデルで表現するために培われてきた数理の基本事項を有機的に結びつけて解説する。様々な具体例を挙げる予定である。一見何の関係もなさそうな現象をどのように束ねて理解できるかという問題意識を講義のポイントとする。

評価基準と評価方法:毎回の出席とレポートで評価する。

履修条件:特になし

授業計画 :

  • 0.非平衡系の物理学を概観する
  • 1.非線形動力学

    分岐

    標準形

  • 2.確率過程と拡散

    分布形成

    反応拡散系

    ネットワーク

  • 3.パターン形成の数理モデリング

    相転移ダイナミクス

    離散と連続、2つのアプローチ

    「群れ」のモデル

  • 4.スケーリングの視点から

    フラクタル

    臨界現象

    パーコレーション

  • 5.まとめとトピックス

    全体のまとめ

    粘着をテーマに

    社会をテーマに

事前・事後学習:課題レポートを通して、授業内容を復習すること。

備考(メッセージ):

  • 登録は物理系事務室(理206室)で行う。
  • 12月7日(木)16:20 より講演会を行う。

 講演タイトル「統計物理の眼で見るスポーツ」

  • 講義世話人:山本健(理203)

物質の磁気的性質

担当教員: 松村武(広島大学大学院理学研究科 准教授)

期間: 12/11-15

単位:  2単位

教室: 理複202講義室

授業内容と方法:

鉄が磁石につくのはなぜか.この疑問に誰もが納得するよう,きちんと答えることは,実はとても難しい.鉄が磁石につく様子は目で見えるが,目に見えないほど小さな力であっても,すべての物質は磁石に引き寄せられるか反発するか,必ず何らかの応答を示す.この事実を発見したのはファラデーであり,1845年,琉球王国の時代,日本はまだ江戸時代のことである.そこから現代の磁性学が始まったと言ってもよい.磁場に対する応答の違いから,物質の磁性は反磁性,常磁性,強磁性,反強磁性と分類される.これらの磁性現象はどのような機構によってもたらされるのだろうか.明治,大正,昭和と世界をリードしてきた日本の磁性研究者たちの歩みとともに,量子力学や統計力学に基づいて,各種の磁性が出現する機構を学ぶ.

評価基準と評価方法: 毎回の出席と最後に課されるレポートで評価する。

履修条件: 学部4年次・大学院生

授業計画:

  • 1.はじめに:物質の性質とその起源
  • 2. 反磁性と常磁性,角運動量と磁気モーメント
  • 3. エネルギー準位,2準位系,常磁性体の磁化率
  • 4. 常磁性体の磁化率,比熱
  • 5. 強磁性と相転移
  • 6. 相転移とエントロピー
  • 7. 交換相互作用と磁気秩序
  • 8. 反強磁性
  • 9.   磁気異方性
  • 10. エネルギーバンド
  • 11.   金属の強磁性と反強磁性
  • 12. 金属の強磁性と反強磁性
  • 13.  講義のまとめ
  • (14.)
  • (15.)

事前・事後学習: 課題レポートを通して、授業内容を復習すること。

備考(メッセージ):

  • 登録は,物理系事務室(理206室)で行う。
  • 12月14日(木)5限 より講演会を行う。

    講演タイトル「Yb(Ni1-xCux)3Al9におけるらせん磁気構造とキラルソリトン格子の形成」

  • 講義世話人:椎名亮輔

高圧力を用いた物性実験技術と強相関電子系の物理

担当教員: 関根 ちひろ(室蘭工業大学大学院工学研究科 しくみ情報系領域 教授)

単位:  2単位

教室: 理学部本館A313講義室

授業内容と方法:

 半導体や金属の自由電子のように自由に振る舞う電子に対し,電子の密度が非常に高い物質では電子同士が互いに強く相互作用する。このような物質系を強相関電子系とよぶ。 強相関電子系では,電子の持つ電荷,スピン,軌道の自由度により,非従来型の超伝導や多極子秩序といった興味深い様々な異常物性が観測される。本講義では強相関電子系の物理の発展と関連する実験技術を実験屋の視点からレビューする。強相関電子系の物理の理解には,極低温,強磁場,超高圧力などの極端環境下における物性研究は重要である。本講義では,特に高圧力を用いた物性実験技術を中心に詳述する。さらに,充填スクッテルダイト化合物における多極子秩序や空間反転対称性のない超伝導体など,いくつかの最近のトピックスを紹介する。

評価基準と評価方法: 毎回の出席と最後に課されるレポートで評価する。

履修条件: 学部4年次・大学院生

授業計画:

  1. はじめに(強相関電子系のふしぎ)
  2. 強相関電子系とは何か1
  3. 強相関電子系とは何か2
  4. 強相関電子系に対する実験手段1
  5. 強相関電子系に対する実験手段2
  6. 超高圧の発生原理
  7. 高圧下の物質合成
  8. 高圧下の物性測定
  9. 強相関電子系の磁性
  10. 強相関電子系の超伝導
  11. 熱電変換材料としての強相関電子系
  12. 最近の話題1 スクッテルダイト化合物
  13. 最近の話題2 空間反転対称性の破れた超伝導体
  14. 講義のまとめ

事前・事後学習: 課題レポートを通して、授業内容を復習すること。

備考(メッセージ):

  • 登録は,9月06日(水)〜9月22日(金)の期間、物理系事務室(理206室)で行う。
  • 9月28日(木)14:40 より理学部本館A313講義室で講演会を行う。

講演タイトル「Asを含む充填スクッテルダイト化合物の高圧合成と磁気的性質」

「重い電子系の物理」

  • 物理学特別セミナーF 「重い電子系の物理」 (学部)
  • 物理学セミナーVI    「重い電子系の物理」 (大学院)

担当教員: 大貫惇睦

単位: 1

教室: A313

授業内容と方法:

物性物理学は通常、物質の構成、格子振動、金属電子論、半導体と光物性、誘電的性質、超伝導、磁性のような分類でまとめられている。これらの基本的考えをすべて理解した上で、新物質の解明にチャレンジすることが大切である。重い電子系の物理を意識しつつ、物性物理学を全般的に学ぶ。黒板での講義なのでノートを持参すること。講義日程は、5/17 より毎週水、木の1限目に予定している。(5/17, 5/18, 5/24, 5/25, 5/31, 6/1, 6/7)

達成目標:

一般的な物性物理学の教科書の内容が理解できるようになること

評価基準と評価方法:

出席とレポートで評価する。毎回基本となるレポートを出題し、次回講義までに提出してもらう。

履修条件:

学部4年次・大学院生

授業計画:

  • 格子振動と格子比熱(5/17)
  • バンド理論と物質の分類(5/18)
  • 超伝導(5/24)
  • 磁性1(5/25)
  • 磁性2(5/31)
  • 固体の電気抵抗、比熱、磁化率、磁化(6/1, 6/7)

教科書:

授業登録の際に配布する授業案内に示す URL より,テキストをダウンロードすること。それを教科書として用いる。事前に予習しておくように。

参考書:

  • 物性物理学 大貫惇睦編著(朝倉書店)
  • 重い電子系の物理 上田和夫、大貫惇睦著(裳華房)

オフィスアワー:

平日12:00 〜 13:00(A107室)

メールアドレス:

onuki_at_phys.u-ryukyu.ac.jp   (_at_ を@に変えてください)


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Last-modified: 2018-04-12 (木) 12:12:16 (2370d)